イタヤ貝って何?
あまり聞くことのない名前のイタヤ貝。知らないだけで、実は目にしたことや食べたことがある人もいるはずです。ホタテと似ている貝なの勘違いしている人もいるでしょう。知っていても損はない!そんなイタヤ貝についてご紹介します。
イタヤ貝を知ろう
生態
イタヤガイ科に属した貝で、形はキレイな扇形をしています。産卵期は冬、数年に1度大発生することもあれば、全く姿を見ない時もあり、不思議な生態をしています。個体数が時期によって不安定なため一般的に出回る事が少なく認知度の低い貝です。殻を開閉させて水を吐き泳ぎます。大発生する時期には市場に出回る事もありますが基本的に収穫量が少なく、主要収穫物の対象とはなっていないため、あまり目にする機会がありません。近年では養殖がおこなわれています。
生息地
北海道の南西部から九州地方まで幅広い範囲の海で確認されています。暖かい海を好み、水深は10m~100mの砂地で生息しています。幼少期は岩場におり、成貝になったら自由に動くので暖かい海へ移動します。
産地
現在では養殖がほとんどです。1977年に島根県隠岐の島で養殖に着手されてから、隠岐の島を中心に主な養殖場として島根県全体で本格的な生産に取り組んでいます。現在では島根県各地で漁業者も増えて、県外でも養殖されるようになりました。
イタヤ貝の歩み
名前の由来
貝殻の形が板葺屋根の形と似ていることから、漢字で「板屋貝」と記します。地域によっては「ホタテ貝」やシャモジに似ているから「シャモジ貝」杓子に似ているから「オシャクリ」と呼ばれています。
イタヤ貝の文様
イタヤ貝をモチーフにした文様が数種類存在します。文様伝統工芸品などに使われ、家紋としては江戸時代から見られているので、昔から親しまれた文様であることが分かります。
イタヤ貝はどこで手に入れることができる?
天然貝
イタヤ貝はほぼ全国の海に生息していますが、天然ものはあまり目にすることのないレアな貝です。漁港近くではたまに見られるようですが、手に入れるのは大変です。数十年に一度大発生をしますので、その時がねらい目ですが、いつ大発生が起きるのか分からないので、供給が安定しないのが現状です。
養殖貝
イタヤ貝は日本以外でも中国などで養殖がおこなわれているので、市場に流通されやすくなり、一昔前と比べて楽に入手可能となりました。貝柱の缶詰や冷凍の剥き身の状態で流通されているため、スーパー以外でもネットで安く購入できます。養殖のイタヤ貝は剥き身で流通されていることが多く、剥き身の状態ではホタテ貝とよく似ているため、ホタテの貝柱だと思って購入したらイタヤ貝だったということもあります。
潮干狩りでもイタヤ貝は採れる?
潮干狩りで稀に採れることがありますが、量は多くありません。採れたらラッキーと軽い気持ちで期待せずに採りましょう。貝には貝毒と言ってプランクトンを食べた貝が毒を帯びてしまう貝がありますので、潮干狩りで採れたものを食べるときには十分注意しましょう。
イタヤ貝とホタテ貝、何が違うの?
貝殻の違い
とてもよく似た二つの貝ですが、大きさや貝殻に違いを見ることができます。イタヤ貝は10㎝程度、ホタテ貝は一回り大きい20㎝にもなるものも存在します。イタヤ貝の色は白やベージュなどの白系に対して、ホタテ貝は茶褐色のような濃い色味が特徴です。貝殻にある溝は放射筋と呼ばれ、ホタテ貝に20本前後、イタヤ貝には10本前後と、一番違いが判るのはこの放射筋になります。
生息地の違い
イタヤ貝とホタテ貝は生息する海水の温度が違います。日本より水温の高い地域で採れたものはイタヤ貝の場合があるので、生息地や原産地、原産国で違いが分かります。中国など海外製の商品は商品ラベルを見ることで判別可能です。
貝柱の違い
両方とも貝柱は食用に適しています。貝長が違う分中の貝柱の大きさもホタテ貝の方が大きく、イタヤ貝は小さめです。ベビーホタテの貝柱と見比べると判断は難しいです。
イタヤ貝の味は?
イタヤ貝はホタテ貝より柔らかく甘みがあります。ホタテより食感が良いためとても美味ですが、小ぶりなのが欠点です。旨味が強いのでよい出汁が取れます。ホタテ貝よりイタヤ貝の方を旨味が強くおいしいと好んでたべる人もいます。