おじろくおじろくばさとは?昭和まで続いた長野県での嘘のような悲しい奴隷制度

人格を認めず奴隷化してしまう

おじろくおばさはあってはならない制度でした。人を家畜のように扱い奴隷化してしまう制度は、今の時代では到底信じがたく受け入れることはできません。家長が土地をたくさん持っていた場合は田畑を分けて独立することもあったようです。

年貢を領主に納める制度もある地域では未だにあります。お互いの利便性と領主に対しての信頼関係が出来上がっているのです。表向きは小作人とは言っていないのです。まだまだ日本には時代から取り残された立ち遅れた地域が存在します。

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狭い村で近親婚を繰り返すうちにこのような分裂病に似た症状の発症を疑い、血縁も調べましたし、遺伝子の調査もされたようですが、さこにはなにも要因となるものはありませんでした。子供のころは普通で、20歳を過ぎたころから人付き合いをしなくなるのは、長い抑圧されたことが原因と考えるほかはないのかも知れません。

おじろくおばさは感情がもてなくなってしまう

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おじろくおばさは感情が持てなくなってしまうほどに感情を押し殺して生きてきたのです。いえ、押し殺していたわけではなく、考える必要がない、するべきことは兄や家人が指示します。せっせと働けば、家族として扱ってもらえます。

無駄口は禍の元です。例の小さい大国が良い例です。トップの意に沿うように働けば、悪いことは起こりません。口をきかなければ腹の底は見えません。ただ、タバコの密売をしていたおじろくもいて、売ったお金は小遣いにしていたといいます。

おじろくおばさは紡績工場の発展とともに消滅

長野近隣で紡績工場は岡谷製糸所を指します。岡谷製糸所は過酷な労働環境で、映画にもなりました。当時の山間部は食べるのにやっとでした。でも皆が皆んな泣きながら働きに出たわけではありませ。一部の貧しい者たちにとっては一筋の光だったのです。

職場ができお金を稼げるようになった

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製糸所に送り込まれる少女たちは、口減らしといわれ、貧しい家の子どもでした。製糸所に子供を送った家は、陰口をきかれ、それはそれで肩身が狭かったものです。ただそれほどまでに貧しい家の子は喜んで出かけて行ったと聞いています。製糸所で、働く女性たちの言葉が残されています。厳しいし、辛いけど、家にいるよりまし。

少女たちは、誰に遠慮なく自由な時間が与えられます。目のまえに自分の飯が置かれることに目を見張ったといいます。岡谷の製糸所の暮らしは悪くなかったと実際に女工として働いた老人から話を聞きました。彼女は帰ってから家でお蚕さんから繭をとり、機織りを生涯続けました。手に職をつけて戻って来たのです。

女工の賃金と村の生活

富岡製糸所が世界遺産に指定されました。女性が働ける場所ができたことは女性の社会進出への足掛かりになりました。長野やその近隣県の者は岡谷製糸所に行きました。底は地獄で行ったら生きて帰れないと言われて出かけて行きました。

岡谷の製糸所は小さな製糸所がほとんどで、女工さんの数は3人くらいの規模から、多い所で12、3人でした。その小さい家内工業のような製糸所が輸出高世界1まで駆け上がって行きました。町には活気がありました。

女工の賃金と待遇

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明治の始め頃の女工の労働時間は一日12時間。食事は1日3回、7銭5厘でした。当時女工宿舎は結核の患者が多数いて、宿舎をともにしていたといいます。外出するときには屈強な男がつきそいました。屑糸をたくさん出した女性が裸に剥かれ意識不明で路上に倒れていたところを通行人に発見され通報する事件が起きました。

上記のタイトルは『鐘紡の女工虐待監獄のごとし』という当時の報道記事です。そから近代化に向かい、国営の富岡製糸所は、良家の子女がこぞって働くほどの水準になりました。岡谷の製糸所の1870年代の記録によると、女工は一番下が9歳であり、賃金は出来高制で1年で12園ほどだったといいます。

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都会の工場よりのどかだったようで、週に半日早上がりの日があり、日中で暇があれば野山で遊んだとあります。明治14年くらいになると天竜川流域の女工が増えたとあります。それだけの現金を持ち帰ったらおばさの立場ではなくなるでしょうね。

大福餅が1銭で2個買えた時代です。当時の1円は2万円くらいの価値に相当します。また林業もその頃には上向き、神原村の暮らし向きも多少は上向いていたのではないでしょうか。おじろくおばさは20代なかばになればまた家に戻ってきます。

おじろくおばさは現代社会にも当てはまるのか

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現代社会には社畜という言葉が新たに生まれました。自分の感情を抑えて働く、会社のためなら悪いことでも指示された通りにやってしまう。まさに飼いならされた社畜だと揶揄されています。おじろくおばさに通じるところはあるのです。

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