この妖怪を題材にしたお話は全国に分布しています。次からはそのうち著名なものをピックアップしていきましょう。
同じ枕というモチーフでも、地方特有の個性があったり、他の妖怪と混じっている点に注目です。
枕返し伝承・座敷わらし編
東北地方では、枕を返すのは座敷わらしによるいたずらということになっています。
寝ている人に触ったり、周囲を走り回ったりと、やることは子供らしくてかわいらしい、他愛もないちょっかいばかりです。
枕返し伝承・謎の火事編
岩手県のとある村は、かつて火事で亡骸が焼けた部屋があり、そこで眠ると枕が放られてしまうといいます。
これは妖怪であるという説と、狐狸や猿に化かされたのだという説があります。家の中まで入ってきて悪さをする動物もいるものです。
枕返し伝承・火車編
群馬県は少々複雑なパターンです。火車という妖怪がいて、それは化け猫が変化したもので、それこそが火車であるのだと言うのです。
眠っている人そのものの向きを変えることもあるということです。
寺院で見られる枕返しの伝承
また、全国各地の寺院にも多くの伝承が残されています。具体的なお寺の名前が挙がると、なんだか真実味も増しますね。
かつて電気の無かった時代、行燈の下でこんな話を聞いた人たちはさぞ震え上がったことでしょう。
枕返し伝承・大雄寺編
大雄寺という寺院には奇妙な幽霊画があります。この掛け軸のもとで寝ると、朝起きた時に枕がひっくり返っている、という言い伝えがあるのです。
とある画家が母を描いたものの、彼女が死ぬと怪現象が起きるようになったため、和尚に預けたということです。
枕返し伝承・大中寺編
一方大中寺という寺院では、足裏を本尊側にして眠ると、なぜかぐるりと逆向きになって起きるといいます。
大切なご本尊に足を向けるなどとんでもない、ということでしょうか。なんだか教訓的なお話です。