吉展ちゃん事件の全貌|警察がミス?死刑囚・小原保の生い立ちや自白の記録

警察は変質者の線で捜査を開始

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当局は、吉展ちゃんはこの男に連れ去られた可能性があるとみて捜査を展開します。ただし、この時点では性的ないたずら目当ての変質者の仕業と思われていました。金銭目当てのはまだ日本では少なく、被害者の家が特別裕福なわけでもなかったためです。

事件の犯人・小原保から身の代金要求の電話

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最初の電話があったのは、4月2日17時40分ごろです。相手は人質の身柄と引き換えに、現金50万円を用意するようにと家族に言い渡します。電話は4月7日まで、延べ9回に渡りかかってきます。その間に担当チームは相手の声の録音には成功しますが、逆探知はできませんでした。電電公社が「通信の守秘義務」を優先させたためです。

また、相手が吉展ちゃんの声を一度も聞かせないことに、家族や当局は慎重にならざるを得ませんでした。行方不明の報道がされて以来、被害者の家にはいたずら電話がかかってくるようになったからです。しかし、8回目の通話において、被害者が履いていた靴の特徴を相手が言い当てたため、この男が誘拐犯であると確信されます。

受け渡し方法と当局の作戦とは

犯人からの最後の連絡があったのは、7日の深夜1時25分です。50万円を豊子さん一人でもってこいと、相手は言います。受け渡す場所は、被害者の家から数百メートルほどしか離れていないところにある自動車販売店です。そこに停めてある5台の車のうち、3番目の車の荷台に子どもの靴が置いてあるから、金をそこに置くようにということです。

50万円といえば、大卒新入社員の初任給が約2万円だった時代においては大金といって間違いありません。しかし、当局は本物の現金を全額用意しました。犯人を怒らせては、人質の身が危険にさらされると判断したからです。彼らの作戦は、警官を現場に配置してから、豊子さんにその金を届けさせるというものでした。

度重なる警察のミス?事件の捜査は難航した

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捜査の中で、小原を逮捕するチャンスは何度もありました。にも関わらず、解決に2年以上の期間を要してしまった理由は、警視庁の失態によるところが大きいと言われています。彼らはいったいどのようなミスを犯していたのでしょうか。

警察の合図のミスで現金50万が奪われた

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いよいよ受け渡しとなりました。犯人を確認、あるいは確保する絶好の機会です。しかし、ここで大きなミスが生じます。警官が現場に到着する前に、豊子さんが金を置いて行ってしまったのです。

これは、豊子さんの車が出発する際、警官が「まだ待て」という意味で手を挙げたのを、運転手が「行け」という意味の合図と勘違いして、準備が整う前に現場へ向かってしまったからです。慌てて現場へ走った警官たちはバラバラに到着します。全員がそろったのは、豊子さんが到着してから5分後のことです。

小原保が指定した車と別の車を見張っていた

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警官たちは受け渡し場所となった車を見張ります。しかし、誰も車に近づいてくる様子はありません。実は、警官が見張っていた車は店の正面に停まっていた車。犯人の指示した車は店の横に停めてあった車でした。間違った車を見張っていたことに気が付いたのは1時間以上後のことです。50万円はとっくになくなっていました。

用意した1万円札のナンバーを控えていなかった

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まんまと身の代金を持ち去られた上に、手がかりは何一つ得られませんでした。ここで、用意した現金のナンバーを控えておけば、犯人が金を使用した際に足が付くようにできたのですが、当局は、それを怠ってしまいます。

4月19日、脅迫電話の男の声を公開した

誘拐犯に身の代金を持ち去られるという事態が起こったのは、日本の犯罪史上でも稀なケースです。その上、以降男からの連絡は途絶え、被害者の行方もようとして知れません。相手は「金を受け取ったら、1時間後に引き渡す」と、告げていたはずなのにです。

ミスを隠すため、マスコミに知られる前に事件を解決したい警視庁でしたが、捜査は行き詰まってしまいました。4月13日、警視総監がマスコミを通じ「子どもを親元に返してやってくれ」と犯人に頭を下げて呼びかけ、19日には報道管制を解き、公開捜査に切り替えます。録音した通話の音声をラジオやテレビで流し、市民に情報提供を求めました。

吉展ちゃん事件の犯人は「40代~50代」と世間に広まった

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言語学の専門家である東北大学の鬼春人教授の助言により、当局は犯人の年齢を40代から50代と想定しました。この犯人像は報道においても取り上げられます。そのため、実際の犯人・小原保の年齢とは異なるイメージが、世間に広まったしまったと言えます。

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