乙事主に驚きの裏設定!?名前の由来や祟り神のモデルなどその秘密に迫る!

物語の序盤において登場するタタリ神は、ナゴの守という猪神のなれの果てでした。そして、クライマックスでは、偉大な猪である乙事主が、醜いタタリ神に変貌してしまいます。いったい何が、彼らをタタリ神にさせてしまったのでしょうか?

「死への恐怖」が原因?

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ナゴや乙事主がタタリ神に成ってしまった理由のヒントは、劇中のセリフにあります。「奴は死を恐れた」とモロは言いました。モロもナゴの守と同じく、石火矢のつぶてをその身に受けていますが、タタリ神にはなりません。彼女は死を恐れず、向き合っているからです。

乙事主もナゴも誇り高い戦士でした。しかし、だからこそ、人間により制圧される憎しみや、強制的に殺される恐怖に耐えられず、タタリ神と成ってしまうのです。

乙事主は完全にタタリ神に成ったのか?

タタリ神に成った証として、体から蛇のようなものが出るという現象があります。しかし、ナゴの守と乙事主とでは、この蛇の出方が違っていました。完全にタタリ神と成っていたナゴは、黒い蛇が全身を覆いつくしています。一方、乙事主がタタリ神化した際は、赤い蛇が体の一部から出ているに留まっていました。

また、変貌する乙事主に触れたサンが、アシタカのように呪いを受けなかったことからもわかるように、彼は完全なタタリ神と化してはいませんでした。エミシの村のヒイ様によれば、ナゴは「走り走るうちに呪いを集めタタリ神に成ってしまった」ということです。完全なタタリ神となるには、怒りや憎しみを増幅させる期間が必要なのです。

タタリ神にはモデルがいた!?

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まるで蜘蛛のような姿で村を襲ったタタリ神。あの造形にはどのような意味が込められていたのでしょうか?実は、このタタリ神にはモデルになった妖怪がいたのです。その妖怪の正体から、宮崎監督の意図を汲み取っていきます。

モデルは妖怪の土蜘蛛

「アシタカがタタリ神を倒した伝説が、長い年月のうちに源頼光の蜘蛛退治の話になった」というのが、宮崎監督が作品に組み込んだジョークでした。タタリ神のモデルは源頼光が退治した蜘蛛ということです。これは「土蜘蛛」という妖怪です。

まだ、朝廷・天皇の力が全国に及んでいなかった上古の日本において、朝廷に従わなかった土豪達を指す名称が土蜘蛛の原型です。覇権を握りつつある大勢力からの侮蔑と、小勢力からの恨みが形となったのが、この蜘蛛の妖怪なのです。

蜘蛛の妖怪として有名なものは、土蜘蛛の他に「女郎蜘蛛」「牛鬼」がいます。以下で紹介していますので、興味のある方は是非ご覧ください。

乙事主のような猪は実在した!?

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この物語に登場する巨大な生き物達は、想像の産物に過ぎないと言えるのでしょうか?実は、乙事主ほどとは言わないまでも、若い猪神ぐらいの大きさの猪は、実際に見つかって捕獲されているのです。

ロシアで巨大猪が捕獲されている

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2015年のロシアでのニュースです。チェリャビンスク市の猟師ピーター・マキシモフさんは、ウラル山脈の森に大きな猪がいるという情報を得て、捕獲に向かいます。仕留めたその猪は、体重535キログラム、体高1.7メートルもあるものでした。一般的なオスの熊の体重が400キログラムほどですので、この猪がいかに巨大かがわかります。

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