おせんころがし殺人事件の凶悪性とサイコパス「栗田源蔵」に迫る!戦後最悪の殺人事件はなぜ起こった?

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拘置後も栗田の粗暴さは相変わらずでしたが、死刑確定後はやはりショックだったようで、徐々に体調や精神に変調をきたし「死にたくない、助けてください」と懇願するようになります。

やがて拘禁によるノイローゼを発症していき、昭和34年の執行直前にはすっかり元の気弱な性分に戻っていました。

死刑廃止論に栗田源蔵が引き合いに

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死刑執行の数年前、昭和31年には、死刑廃止論が国会であがりましたが、その際おせんころがし殺人事件・ならびに栗田源蔵の名を引き合いに「世の中には淘汰する以外にない大量殺人者がいる」とまで言われています。

結局、死刑廃止に至ることはありませんでした。

おせんころがし殺人事件現場は屈指の心霊スポット

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このように残忍な事件の舞台となってしまったおせんころがしですが、心霊スポットとしても有名な場所です。ですがそれは上記の事件があったから、というだけではありません。

それはもっと昔に同じ崖で起きた、一人の娘の死にまつわる悲しい伝説が由来となっていました。

「おせんころがし」という名前の由来

豪族の一人娘お仙は日ごろから年貢に苦しむ領民に心痛め、強欲な父を見かねて説得しましたが聞き入れてくれません。ある日のこと、領民が父の殺害を計画し機会をうかがっているのを知ったお仙は、自ら父の身代わりとなり領民に断崖から夜の海へ投げこまれてしまいました。領民たちは、それが身代わりのお仙であったことを翌朝まで知りませんでした。(引用:山さ行がねが)

このように、心優しい娘が村のために身を投じたという伝説から、崖一帯は「おせん転がし」と呼ばれるようになりました。

その後父親の非道三昧が伝えられていないことからすると、娘の犠牲でようやく心改めたのでしょう。実に痛ましい歴史のお話です。

おせんころがしは自殺の名所

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この物悲しい伝説と凶悪事件が重なり、また崖の名前が怖気を煽るものであったため、徐々に心霊スポット化していったと思われます。

投身自殺も多く、また海沿いの切り立った道路ですから、強風に煽られて転落してしまうこともあります。もし事故だったとしても、場所柄として自殺の噂が立ちやすいため、都市伝説化の一因になっている模様です。

おせんころがし殺人事件と心霊簿

栗田源蔵は死刑囚となった後、ここで殺した母子が泣く夢を見ると話しています。またここでは、女性の悲鳴が近づいてくる、写真を撮ると奇妙な影が入る、後ろから足音がずっと着いてくる…など数々の心霊体験が報告されています。

気軽な肝試し気分で向かうと大変危険ですので、安易に近づかないようにしましょう。

おせんころがし殺人事件現場へのアクセス

どうしても現場に行ってみたい!という方に向けて、詳細な位置情報と現在の状況についてお教えします。

新国道の開通したため今は車も人も通ることがなく、ガードレールや街灯もない荒れた道です。心霊スポットを見てみたい気持ちは分かりますが、夜中に訪れるのは厳禁です。

おせんころがし殺人事件の場所

崖は千葉県の鴨川市から勝浦市にかかり4kmの長さがあります。新国道開通によって現在は車両の進入が禁止されています。

国道128号沿い、行川(なめかわ)アイランド駅が最寄とし、徒歩10分ほどの距離になります。整備もされておらず、ガードレールもない荒れた道なので、駅から近いとはいえ動きやすい装備を心がけてください。

おせんころがし殺人事件現場へのアクセス方法

先にも記しました通り車両通行止めになっていますので、現場まで徒歩で向かう必要があります。おせんころがしトンネルの付近に空き地があるので、車で訪れた方はそこで降りていきましょう。

近くにホテル行川というラブホテルがあるので、そこの看板が目印がわりになります。

おせんころがしから見る風景

これが、おせんころがしの崖から見た風景です。晴れた日は絶景とも言えますが、何より風が強く淵に立っていると吸い込まれそうな錯覚に陥ります。

一目見てわかるように、これだけの高さからまともに海まで転落したらまず助かることはないでしょう。この場所に死にまつわるうわさが絶えない理由がよく伝わってくる風景です。

美しく豊かな千葉の海

閑話休題になりますが、千葉県はもともと海産資源が豊富で、海の恵みにあふれた暮らしやすい土地です。

今回は残酷史ばかりが目立っていますが、本来は漁場も多く、次の記事にもある通り、愛好家いち押しの釣りスポットにも恵まれていますので、ぜひ休日の行楽で訪れていただきたいところです。

1950年代の日本の暮らし

特に現代の若者にはぴんとこないでしょうが、この時代、70年近く昔の日本はそもそもどういう時代だったのでしょうか。

その頃の生活で活躍してきたアイテムなどから、当時の暮らしぶりを想像してみましょう。

電気で動く冷蔵庫の発売

この時代から徐々に冷蔵庫が、氷の冷気を貯蔵する木製のものから、電気を利用した現代風のものに変わってゆきました。

ただし大変高価で、平均給与の10カ月分もの価格だったので、家庭に定着するまでにはまだまだ歳月がかかるものでした。

街頭に集まって見るテレビ

事件のあった翌年に一般向けのテレビ放送が開始され、テレビも発売されましたがやはり高級品のため、人々は街頭に設置された公衆テレビを眺めたり、テレビを持っている人の家に集まって楽しんでいました。

この時代、テレビとは大勢で楽しむものだったのです。

日本初のスーパーが登場

この国に初めて誕生したスーパー。それは現在では高級店として名を馳せている、あの紀ノ国屋です。

それまでは店員と客の対面販売が一般的でしたが、セルフサービスという斬新な形態が生み出され、多忙な時代に効率的で好ましいということで、全国で爆発的に広まっていきました。

鉄腕アトムの連載開始

鉄腕アトム 1

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ちょうど同じ年に、手塚治虫の「鉄腕アトム」の連載がスタートしました。当時の日本に満ち溢れていた未来への希望と、科学の力へのあこがれがいっぱいに詰まった、漫画の神様の代表作品です。

余談ですが、アトムは2003年生まれの平成ボーイという設定です。

同じ時代に起きた日本の事件

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ここからは、おせんころがしの事件と近い年代に起きた日本の刑事事件に注目してみましょう。

現代では見られないような経緯であったり、有名なあの場所や企業が舞台になったり、戦後の時代は過激な事件が多くなかなかに衝撃的です。

金閣寺放火事件

昭和25年、京都府の鹿苑寺、いわゆる金閣寺が放火されるという事件が発生しました。怪我人は出なかったものの建物は全焼、重要文化財が消失するなど重大な損害を受けます。

犯人はこの寺の見習い僧侶であり、事件後に山中で切腹しているところを発見されたといいます。寺は5年後に無事再建、元の姿を取り戻しました。

荒川放水路バラバラ殺人事件

昭和27年、都内にある荒川放水路で男性のバラバラ遺体が発見されました。頭部からのモンダージュ画像を作成し、被害者は警察官と特定。ほどなくその妻と母親が容疑を認め逮捕されました。

酒乱だった夫の暴力に追い詰められた末の犯行であったといいます。いつの世もDVに悩む家庭は絶えないものです。

血のメーデー事件

上記と同じ年に外苑広場で発生した、警官部隊とデモ隊との衝突事件です。大学生など若者を中心とした軍団が、再軍備反対を主張し、警察と激しい闘争状態になりました。

結果、戦後の学生運動として初めて、死者を出すまでの事態に激化します。

森永ヒ素ミルク中毒事件

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昭和30年に発生した、森永製品の粉ミルクに毒物が混入した薬品事件です。安定剤として使用していた成分の一部に多量の砒素が混入していたため、多くの乳児が中毒症状を発症。その被害は重大で死者も出たほどでした。森永がこの事件を認めたのは、発覚から15年も後のことになります。

なお年代の近い事件はこちらの記事でもご紹介しています。

1950年代の映像作品

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また映画も時代を彩る象徴のひとつです。もしかしたら被害者たちもこの映画を見ていたかもしれません。

犯人も、誰かと同じ娯楽を分かち合う喜びを知っていたら、あのような惨たらしくも心無い事件を起こすことはなかったでしょう。

羅生門

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巨匠・黒澤明監督の代表作ともいえる作品のひとつです。若かりし頃の、しかしすでに貫禄のある三船敏郎が盗賊役として主演しています。

国内での評価が振るわなかったものの、ヴェネツィア国際映画祭で受賞を果たすや大評判となりました。外国の権威に対する弱さは現在と変わりないようですね。

シンデレラ

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そう、誰もが知っているディズニーの美麗なアニメ作品です。あの色鮮やかさ、なめらかな動きで、なんと初公開は1950年だというから驚きです。

当時の日本人にはどれだけまぶしく映ったことでしょう。また同会社の「白雪姫」はこれよりさらに13年も前の作品だというから驚愕です。

ALWAYS 三丁目の夕日

 

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こちらは制作は近年ですが、舞台が50年代後半の東京・下町を舞台としたヒューマンドラマ作品です。当時の情景を緻密に、かつ情緒豊かに再現したその映像技術が高い評価を受けました。

日本アカデミー賞においては、最優秀賞発表でほぼすべての部門で受賞をするという快挙を成し得ました。続編・続々編と制作されています。

サイコパスが起こした戦慄のおせんころがし殺人事件

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それは育った環境のせいなのか、はたまた生来の性分なのか、犯人・栗田源蔵は他者を思いやる心をまるで持ち合わせていませんでした。あまりに利己的で理不尽な仕打ちであり、被害者たちの無念は計り知ることができません。

ここは本来、心優しき娘が村を救ったという史跡であり、二度とこのようなおぞましい事件が起こるべきではないのです。

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