しかし、今回の炎上騒ぎに関しては、大勢の利用者やソシャゲファンの注目を集め、事件と呼べるまで事態は深刻化してしまいました。そこには、どのような経緯があったのか、順を追って解説していきます。
年末年始に始まったイベントに登場したアンチラ
2015年12月31日。グラブル内では「ゆく年くる年レジェンドフェス」と銘打って、新年に向けた特別イベントが開催されました。目玉となったのは新規キャラクターの実装です。そして、その新キャラの中でひときわ注目されたのがアンチラでした。
アンチラを手に入れるにはガチャをする必要があった!
このキャラを手に入れたいと願う利用者は大勢いましたが、その手段は一つしかありません。イベント期間中にのみ開催される、特別ガチャです。ただし、ガチャは有料で、目当てのものが引けるとも限りません。その上、アンチラは排出率の低い「SSR」のキャラです。
排出率の高さが謳われていたにも関わらずなかなか出ないアンチラ
さて、このSSRが排出される確率ですが、公式の発表によると通常時のガチャであれば3%しかありません。しかし、このイベント中は6%にアップしていると公表されました。この文言に、アンチラを喉から手が出るほど欲する利用者達は煽り立てられます。
ところが、イベントの注目度の高さの割に、「アンチラを手に入れた」という報告は、SNSのどこを見ても、ほとんど見当たらないという状況だったのです。
何十万もの課金も?アンチラ排出率の低さがSNSで話題に
とうとう、利用者の中からアンチラを手に入れるために、何十万という大金をつぎ込んだという話が聞かれるようになります。
ニコニコ生放送では、アンチラを引き当てるまでガチャを続けるという企画を行う配信者が現れ、68万円以上をつぎ込むという結果になりました。Twitterからも、「70万円以上かかった」「80万円で引けなかった」などという報告が上がります。
これらは、最初の頃こそ笑い話として扱われていました。しかし、同じような報告が集まるにつれ、SNSを中心に、運営への不信感をあらわにする発言が増えていくようになります。
「確率アップを謳ってガチャを煽っておきながら、肝心のアンチラがこれほどまでに入手困難なのはおかしいのでは?」実際の排出される確率が、広告されているパーセンテージより低く設定されているのではないかという疑惑が沸き起こったのです。
「コンプガチャ」疑惑も同時に巻き起こる
アンチラをめぐって、なぜこれほどまでに運営に対する不信が募ったのか。その原因は、「排出率を不当に操作した疑い」だけではありませんでした。
「事件の数年前に規制されたばかりの、コンプガチャに該当するシステムが使われているのではないか?」このような疑惑も同時に巻き起こったのです。
コンプガチャとは?
コンプリートガチャ(通称コンプガチャ)とは、指定された複数のアイテムをガチャで全部揃えれば、さらにレアなアイテムが手に入るというシステムです。
ソシャゲにおけるガチャシステムの登場以降、よく見られる仕組みでした。しかし、このやり方は、景品表示法が禁止する「カード合わせ」に該当すのではないかという問題が沸き起こります。
コンプガチャは「カード合わせ」であるとして規制されている
カード合わせ(「絵合わせ」とも呼ばれる)とは、おまけや景品のカードのうち、特定のものを揃えると、さらに別のレアな景品がもらえるという仕組みです。プロ野球チップスなどで行われていた手法でしたが、子どもたちがギャンブル的に散財してしまうとして問題化し、景品表示法で禁止されます。
コンプガチャも、これと同じ手法であるとの指摘を受け、2012年、消費者庁は「コンプガチャはカード合わせである」と明言し、同法での規制対象であることが確定しました。以来、ソシャゲ業界で、このシステムはご法度となっています。