病状は大きく3段階に分けられます。まず初期症状として震え、歩行や発音に障害が発生。次に歩行が困難になり、情緒不安定で自制できない笑いが起きる(このため笑い病と呼ばれることも)。
やがて座ることも難しくなり、生理機能や発話のコントロールができず、肺炎や床ずれで死亡します。
クールー病の原因
部族には儀式として遺体を食す、つまりカニバリズムの風習がありました。病の原因とされるプリオンというたんぱく質は脳に集中していて、そこを老人や子供が食し、また女性は儀式の中心として遺体によく触っていたため発症してしまいました。
男性は「亡骸を食べると戦に弱くなる」として食べなかったため感染率は低かったといいます。
クールー病と狂牛病の共通点
ではなぜ狂牛病に類似性があるかというと、こちらは対象は牛であるものの、同じように発生したプリオン異常が原因とされているからです。
牛たちにそのつもりはありませんでしたが、飼料に牛骨や肉が混じっていたため、知らずのうちに共食いをしてしまっていたのです。やはりどの動物にとっても「同族食い」は遺伝的に不向きなようです。
人肉を食べる民族
前記にあったパプアニューギニアの部族のように、かつて食人文化を有していた民族は世界中に存在しました。
昔々、まだ病気について知られていなかった頃、現代ほど情報共有によるモラルの均一化がなされていなかった時代に、人類はあらゆる目的で隣人を食してきました。ここからは、世界各地に残るカリバニズムの痕跡を辿ってみましょう。
人肉を食べる一部中国人
古代中国ではごく日常的に人肉を食べていたという主張があります。各随筆から記述が発見され、塩漬けの肉や汁物で食し、血液や内臓を滋養剤にするなど多様に活用していました。
また一説によると饅頭(まんとう)は蛮頭(まんとう)、つまり野蛮人の首であり、かつて人身御供に使っていた人の頭部の代用品であったと言われています。
人肉食の習慣があるパプアニューギニア
先に少し触れたパプアニューギニアの部族は、葬儀の一環として遺体を食べてきました。空腹や活用の目的でなく、弔いとしてのカニバリズムです。
これは族内食人(エンドカニバリズム)と呼ばれ、亡くなった人や部族そのものに敬意を表すためのものです。日本の一部にも「骨噛み」というお骨を食べる風習がありました。
十字軍も人肉食を食べた
意外に思われるでしょうが十字軍も食人を行ったと言われています。遠征の際、食糧事情が劣悪であった彼らは、たびたび現地調達という名の略奪行為を行っていました。
その一環として現地住民を殺害し食料としていたのです。当時、食糧にされた住民は十字軍にとっては人間でなく、狼や鹿のような獣と一緒だったのです。
観光中のカップルが人肉食の部族に食べられる事件発生
けれどそういったカニバリズムの類は、今よりずっと昔の話なんでしょう?…と思いがちですが、実はそうでもないのです。
人食い部族は現在もなお存続していて、現代人がその被害に合ってしまう事件も発生しているのです。それは観光客も多いフランス領ポリネシアで、ある旅行者に起きた悲劇でした。
パプアニューギニア人のガイドが人肉食の部族だった
ある旅行者カップルがヤギ狩りツアーに参加するため雇ったガイド、アンリ・ハイチこそが事件の容疑者です。一見どこにでもいる普通のガイドでしたが、実は彼はパプアニューギニアの人食い部族の出身でした。
現代においてなお、彼の中には「人間食い」の特性が残っていて、しかもそれが暴力的な形で発露してしまったのです。
悲劇に襲われた彼女と喰われた彼氏
まずアンリは男性を森の中に誘い出し、少しして戻ってから「事故が起きた」と女性を誘い出します。そこで救助に向かった女性に性的暴行を加えようとしますが、護身グッズにより撃退されます。
やがて通報を受けた警察が森を捜索したところ、焚火のあとからバラバラになった人間の骨が見つかりました。そう、男性は食べられてしまったのです。