かつて転落死が相次いだ交通の難所というだけあって迫力満点のホラースポット。なおここで発生した殺人事件の詳細は以下の記事にまとめられています。
八幡の藪知らず
江戸時代の古い文献にも禁則地との記述があるという、「八幡の藪知らず」です。別名タタリの藪、踏み入った者は二度と出てこられない神隠しの森という伝承が残されています。
またこの場所の名の名前から、道に迷ったり出口が分からなくなることを「八幡知らず(やわたしらず)」と言うようになりました。
観音隧道
トンネルの中でクラクションを3回鳴らすと怪奇現象が起きるという著名降霊スポット、観音隧道(トンネル)です。その名の通りトンネルの先は観音像に続いていましたが、異様なほど事故が頻発したため迂回路が整備されたといういわくつきの場所です。
現在は鉄板で塞がれていますが、かつて中には首の取れた日本人形が置いてあったといいます。
水は霊を呼ぶ!
雄蛇ヶ池に限ったことでなく、海・川・湖などの水辺、屋内においては浴室やトイレなど、水の気配あるところに心霊報告は絶えません。霊能者のあいだでは「霊は水の近くに集まる」という法則は常識とされているぐらいです。
海外のホラー映画を見ても、大半がじめじめと湿った場所が舞台であることから、これは世界共通の認識といえます。
なぜ霊は水辺に集まるのか?
そもそも霊たちは、どういった理由で水の近くに寄ってくるのでしょうか?彼らが記憶や感情に突き動かされる存在である以上、その行動にもきちんと理由があるはずです。なぜさらりと乾いて明るい場所では駄目なのか?
霊能者からするとその理由は至極明快であるといいます。
霊は渇きを覚え水辺に集まる
正しく供養されることなく、現世に未練を残している霊は、不浄の存在として浮遊霊になります。癒されぬままの魂として漂う彼らは、絶え間ない渇きに苦しんでいるので水辺に集まるのだと言われています。
水は喉を潤してくれるだけでなく、不浄を洗い流す効果もあるのです。水に集まる霊たちは救われたがっているということです。
雄蛇ヶ池も例外ではない
水辺の向こうは霊界、海や川はその境界線であるという考えは各地に残っています。三途の川、補陀落(ふだらく)渡海、ニライカナイなどが有名です。
あの世が近いのであれば、霊がよく出現するのも納得と言え、もちろん雄蛇ヶ池も例外ではありません。
雄蛇ヶ池で絶対にやってはいけないこと
そんな異界の入り口たる雄蛇ヶ池でうかつな行動は厳禁です。誤った対処は事前に把握しておくべき、遊び気分で肝試しに行ったり、大騒ぎしてゴミを散らかすなどもってのほかです。
無事我が家に帰りつきたければ以下の決まり事をきちんと守るようにしましょう。
雄蛇ヶ池周辺で線香をあげる行為や塩をまく行為
ここにいる霊たちにせめて供養を…、魔除けに…、と線香や塩を持ち込む人がいます。これらには清めの力があり、仏壇や墓などの清浄を保つのには良いですが、不浄である霊にとっては嫌なアイテムです。
そんなものを自分のなわばりに持ち込まれていい気分のはずがないので、持っていくのはやめておきましょう。
雄蛇ヶ池の物を持ち帰る
特定の場所を住処としている霊は、その場所に思い入れを抱いているか、あるいはそこにある物に執着している場合があります。霊となった彼らの価値観は、我々現世の住民には理解できないことも少なくありません。
池辺の小石ひとつぐらい…と思っても何が彼らを怒らせるかわからないので、心霊スポットのものを持ち帰るのはやめておきましょう。
雄蛇ヶ池を凝視する
雄蛇ヶ池を凝視してはいけません。生きた人間のまなざしには強いエネルギーがあると言われ、霊を引き付けてしまう可能性があります。
またこちらは見えていなくとも、霊たちが「この人、私が見えてる!嬉しい!」と勘違いして寄ってきてしまうかもしれません。もし本当に見えてしまった場合は…見えないフリでやり過ごしましょう。
蛇伝説が多い理由
怪談話に限らず、日本には昔から蛇にまつわる伝承が多く存在します。
蛇と言えば毒の牙でかみつく凶暴なイメージがありますが、実は「神」の語源も「蛇(かがち・カ)」「身(ミ)」であるという見方もあり、鏡餅は蛇身餅、蛇がとぐろを巻く様を模していたとされています。古来の蛇は威厳ある神聖な存在だったのです。
蛇は古くから信仰の対象
神聖の蛇といえば白蛇が浮かぶものですが、色や国の東西に関わらず、古代より蛇は信仰の象徴でした。
一説によるとあの女王・卑弥呼の名も、古代の言葉で蛇という意味が含まれていたといいます。そもそも「卑弥呼」とは個人名でなく役職名であり、巫女のことを指します。神と密接に関わる立場だからこそ、神と同義たる蛇の名がつけられたのです。
その特性から信仰の対象に
蛇は脱皮で再生することから死を超越した生命力の象徴であり、蛇の毒は薬にも利用されたことから医学や薬学のシンボルでもありました。
また水中を泳ぐその姿が川そのものと重ねられ、水流や雨を司る水神として祭られてきたのです。雄蛇ヶ池の蛇伝説もここからきているものでしょう。
時には恐怖の象徴に
ヤマタノオロチやギリシャ神話のゴルゴーンなど、時に異形の怪物として登場することもありますが、これは蛇そのものを忌み嫌ったわけではありません。
水神である彼らが持つイメージ、氾濫や豪雨など水害へのおそれが形となったものです。それは人間から自然への、畏怖のこもったまなざしでした。
「完全」として崇められる蛇
このわが身を食らう蛇は、完全、または終わりのないものを表すシンボルです。生命力の象徴たる蛇が己を尾を食らうことで、始まりと終わりがひとつに完結することを象徴しています。
古代ギリシャの哲学者らはこの蛇の図を「ウロボロス」と名付けました。
世界の蛇神様
日本だけでなく世界各国で崇め奉られている蛇神様。ここからは、日本以外の蛇神様についてお教えします。
どこかのお店で見かけたことがあるようなものから、えっ?!知らなかった!と言いたくなるようなネタまでピックアップしてみました。
ナーガ
仏法における守護神、元はコブラが神格化された存在である蛇の神、ナーガです。雨を操ることができます。
インドから中国に伝わった際、中国にはコブラがいなかったため竜の神様であるとされました。そのまま日本に伝わり八大竜王に変化しています。
サラスバティ
日本では弁財天と呼ばれている七福神の一人、ヒンドゥー教における芸術の神、サラスバディです。その名は「水を持つもの」という意味だけあって、水や豊穣を司るともされ、見た目は美しい女性ですが正体は白蛇とされています。
なお彼女を祀る神社に恋人と訪れると、嫉妬深くカップル嫌いの弁天様によって破局させられてしまうそうです。
女媧
女媧(じょか)は中国の神話における人類創造の女神です。身体が蛇で頭部は人の姿をしていると言い伝えられています。
ペアとなる男神は伏羲(ふうぎ)と言い、彼らは泥をこねて人間を作り、楽器を作り、世界を修復したりと忙しく働いていました。日本神話の創生と似ている点が多々あるようです。
医療のシンボルとしての蛇
たまに病院で見かける右の蛇マーク。これはアスクレピオスの杖と呼ばれる医療のシンボルマークです。
ギリシャ神話に登場する名医アスクレピオスの持つ杖がモデルですが、実は左の交通・商業のシンボルであるケーリュケイオンの杖とよく間違われています。もし蛇が2匹絡みついて、羽が生えていたら、それは医療向きのマークではありません。
興味本位で雄蛇ヶ池に立ち寄るべからず
いくら訪れやすくても夜の水辺に軽々しく立ち入ってはいけません。有名な心霊スポットだけあってここにはたくさんのうつろな霊が漂っているのです。
どうしても行きたい!…と言うのであれば止める手立てはありませんが、くれぐれも気を付けてください。うっかりするとあなたが雄蛇ヶ池の新しい怪談に、仲間入りするはめになりますよ。
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