阿部定事件は狂愛に満ちた猟奇殺人!愛人を扼殺し陰茎切断した彼女の動機と心理

死んでしまった吉蔵を見ながら、一瞬でも後悔しなかったのでしょうか。定は本当の恋も愛も知らないままの生涯だったのかと、背筋が冷たくなるような気がします。特殊な考えを持っているか、やはり心の病を生涯抱えていたか、危険な女であることは、女性がみたら気がつくのではないでしょうか。

阿倍定事件

阿部定事件―愛と性の果てに (新風舎文庫)

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愛するが故に、愛する男のからだの一部を切り取りました。昭和11年に起こった事件を伊佐千尋が阿部定予審調書を基に、書き下ろしました。猟奇的犯行を真相から真実へ迫る小説です。世に出るはずのない阿部定の予審書があります。予審書には阿部定が発言した数々の珠玉の言葉が散りばめられています。

定吉ふたり

シーツに鮮血で書かれた文字にはどんな背景があり、どんな心情が込められているのでしょう。二人の官能作家が別々の視点で描いた小説は事実を超えることはできたのでしょうか?阿部定をモチーフにしたものは、この種の本やDVDとしては珍しく、女性が堂々と購入して行きます。

愛のコリーダ

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大島渚監督 の作品です。この作品で世界の大島になりました。なにも隠しもしない体当たりの作品で、究極のエロスを表現しました。日本では発売禁止となりました。吉蔵が藤岡竜也さんですから、嫌らしい感じはなく、ただ凄いの一言です。よくぞ映像で見せてくれました。

失楽園

失楽園(上) (角川文庫)

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失楽園は小説と映画と、ドラマのどれから見るのか迷います。映像は美しく、映像は黒木瞳、役所広司主演でした。テレビドラマ化もされました。禁断の愛とあらば小説で、思いっきり想像の羽を広げようではありませんか。当然のことながらテレビドラマは過激になりすぎないように内容も違います。

恋愛が巻き起こした猟奇事件は阿倍定だけではない

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男女の行き過ぎた愛憎劇、恋愛関係のもつれなら、ほかにもあります。他人からみれば、信じられないような稚拙な犯行理由が浮上してきます。恋愛関係のもつれによる事件は小説より奇妙です。その人を求めていたはずが、どこで憎しみに変わるのでしょう。定は感情のままにとっさに行動に出ます。つねにギリギリの状態に自分を置いています。

古屋栄雄事件

1954年人違いばらばら殺人事件と呼ばれる事件が起こりました。場所は埼玉県の農道で殺害された後で解体され捨てられた事件です。女性の両親に結婚を反対され、また女性も相手のストーカー的な行為に愛情は冷めてしまいました。

それでもなお付け回すので女性は危険を感じ全国を逃げまわります。やがてすでに女性は結婚しているのではないかと妄想し、さらに女性を探しまわります。9月5日の夜9時頃に路上で発見。後に人違いだったことがわかりました。

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この何一つ関係ない女性を畑に引きずりこみ絞殺し、ナイフで陰部と乳房を切り取りました。人違いと分かったあとも反省の様子は見られませんでした。理由は女性を愛した故の犯行だったと語りました。軽い精神障害が認められました。

高橋お伝

毒婦伝 - 高橋お伝、花井お梅、阿部定 (中公文庫)

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明治9年8月9日に起こった事件です。お伝は結婚していましたが。明治年に夫がは死亡します。死亡理由はお伝による毒殺とも言われていますが、本当のところはハンセン病でお伝は厚い看護をしました。その後、妾や街娼として稼ぎます。やくざの一太郎とは捕まるまで一緒に居ました。

しかし、借金が嵩み古物商の吉蔵に借金の相談をし、愛人になるなら貸すと言われました。お伝は承諾し、蔵前の旅館で偽名で同衾しました。しかし、約束を反故すると言われ、吉蔵の喉をかみそりでかき切り殺害しました。お伝は翌日午後財布の金を奪い逃走。9月9日に逮捕されました。

最後の斬首刑になった人物とされ、歌舞伎や映画にもなっています。そのため脚色した情報が多く、毒婦とされています。おそらく毒婦などではなく、献身的に介護した方の像が実際なのでしょうね。

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