電力会社やガス会社など、民間の緊急車両には、色の制限がないため様々な色の車両があります。黄色の緊急車両や道路パトロールカーを、救急車と誤認したために噂の信憑性が増したとも考えられています。
Contents
黄色の救急車は海外に存在した!?
ほとんどの国の救急車は「トラック」「商用ワンボックスカー」「商用バン」がベースになっていますが、「塗装の色」「回転灯の色」「模様」などは、それぞれの国の法律に合わせたものになるため、国によって異なっています。
海外には黄色い救急車がある
海外には、黄色の救急車を使う国が複数あります。特にヨーロッパでは、メインの色を「黄色」または「蛍光の黄色」として、「緑色や橙色の模様」が施されている救急車もたくさん見られます。黄色の救急車は、各国で普通に使用されており、日本の都市伝説とは無関係だとされています。
自衛隊の救急車は白くない
自衛隊には、「白色以外の救急車」があります。陸上・海上自衛隊には「茶緑色の救急車」があり、航空自衛隊には「紺色の救急車」があります。法令で「自衛隊や警察などの緊急自動車は白色以外でもよい」と定められているため、法令違反にはなりません。現在は「白色の救急車」の導入も各地で進んでいます。
精神異常になった人を病院に連れて行くには
2000年に精神保健福祉法が改正されるまでは、本人の同意なく病院に入院させる制度(移送制度)がありませんでした。移送制度は、すぐに入院させなくては、医療や保護に大きな支障をきたす状態であるにも関わらず、家族などの説得を理解できない状態にある精神病患者の場合に限り、緊急避難的に指定病院に移送することが出来る制度です。
基本は自主的に
「移送制度が適応される人」や「自害や他害のおそれがある人」は、制度や法律により病院に連れて行ってもらえますが、「当てはまらない多くの人」は、家族や身近な人に病院に連れて行ってもらうことになります。自力では病院に行けない状態で、頼れる人がいない場合は、最終手段である「普通の救急車(本来は救命救急用です)」を呼びましょう。
手に負えない場合は110番
精神病患者の一部の人は、暴れてしまい病院に連れて行くことが困難な場合があります。家族の手に負えない時には、110番通報にて警察に連絡し、患者を「逮捕」ではなく『保護』という形で、警察官に病院まで連れて行ってもらいましょう。家族が「押さえつける」「縛り付ける」などの対応を行うのは危険です。
警察官は、「挙動や事情から判断し、精神病が原因で自身や他人に危害や損害を与えるおそれがある状態だと認められた人」は、「自害や他害のおそれがある人」として『保護』しなくてはなりません。警察官は、患者を病院に送り届けた後も、患者の行き先が決まるまで病院で待機していてくれます。
「黄色い救急車」のイメージ払しょくのために
精神科病棟を想像した時、どんな世界をイメージするでしょうか?「黄色い救急車」に登場する精神科病棟は、「黄色の救急車で連れて行かれる」「鉄格子付きの部屋に入れられる」など、『恐ろしい所』のように語られています。この精神科病棟のイメージは、実際の精神科病棟の姿とはかけ離れています。
現代の精神科関連の病院とその取り組み
現代の精神科関連の病院では、様々な取り組みが行われています。『スーパー救急病棟』という病棟がある病院もあります。この病棟では、「病室の半分以上が個室」「6割以上は3か月以内に自宅退院」など、高い基準が法的に決められており、手厚い治療を受けることができます。
病院によって違いはありますが、病気の種類や病期に対応した、様々な治療メニューがあります。入院したばかりの人には、時間をかけて不安を聴き、不安を踏まえて説明する『ホッと入院』プログラムがあるなど、初めて入院する人の不安を和らげる取り組みもされています。
ここまで変わった!精神科関連の病院の対応方法
病院によっては病棟の造りも、「混乱状態の患者が入る個室には、強化ガラスの窓を付け、圧迫感がある鉄格子は付けない」「自殺願望(希死念慮)の強い患者の部屋には、クッションベッドを使う」「追われる妄想のある患者のために、トイレの手すりは登りにくい設計になっている」など、様々な症状の患者に対応できるようになっています。
現代では、脱法ハーブ(危険ドラッグ)による離脱症状が深刻な人の入院も増えています。暴れる患者には大勢の看護師で対応し、患者に抵抗を断念するように促すことで、お互いの危険を回避するなど、力や薬で押さえつけるのではなく、言葉や対応によって患者を落ち着かせる病院も増えています。
救急車にまつわる都市伝説
「黄色い救急車」のように、たくさんある都市伝説を信じたまま大人になる人も多いのではないでしょうか?その中でも、救急車に関する都市伝説の真相を検証した結果をご紹介します。都市伝説の最新情報【2019年版】に興味のある方は、こちらもご覧ください。
「救急車のサイレンが走行中に止まる理由」
『『搬送中の患者が救急車の中で亡くなった時はサイレンを止める』という内容の都市伝説です。実際は、搬送中に患者が亡くなった場合も搬送はやめないので、サイレンも止めません。現場に着いた時には患者が亡くなっており、確実に助けられない時には、救急車では搬送せず、警察の車両を使用します。
「住宅街を走る際、騒音に配慮した時」「通報がキャンセルされた時や誤報だと判明した時」などの理由で、走行中にサイレンを止める場合もあります。自治体によって違いがあり、滅多にないケースなため、基本的にはサイレンを止めることはありません。
○○色にも都市伝説が?
「黄色い救急車」のような、色と車にまつわる都市伝説は他にもあります。その中から、「青色の車」に関する都市伝説をご紹介します。白・黒・シルバーに続く人気のボディカラーですが、青色の車には、どんな噂があるのでしょうか?他にも、車に関する都市伝説「深泥池タクシー怪談」に興味のある方は、こちらもご覧ください。
青色の車は事故が多いという都市伝説
事故率を車の色で分け、ランキング形式に纏めた資料によると、青色の車の事故率が一番高くなっています。「元になった参考データが、1968年の外国のもの」「集計期間や集計場所が不明」「他の研究データでは違う結果が出た」など、確かな裏付けがないため都市伝説として扱われています。
ランキングの根拠は色の捉え方
日本国内での事故と車の色との因果関係を検証する際に、度々使用される書籍があります。その書籍にはカラー・マーケティングについての情報が記されており、色の捉え方などが事故と大きく関わっているという説明の元になっています。
青色の車は実際の距離よりも遠くに見える
目が色を認識する時には、光(色)の波長の長さを感じています。波長は色によって長さが異なるため、遠近だけではなく、色によっても目のピントが変わってしまいます。目のピントが違うために、実際の車がある距離よりも遠くや近くに感じてしまうのです。
波長が長い赤色と、波長が短い青色の距離の感じ方には、7mもの差があるという実験結果が東京工業大学により立証されています。波長が短い青色の車は、実際の距離よりも遠くに見えてしまうために事故率が高いと推測されています。
黄色い救急車が必要なのは現代なのかもしれない
「黄色い救急車」は、精神病院は異世界のような「恐ろしい所」であるというイメージを元に、「恐ろしい所」に無理やり連れて行く「存在しない色の救急車」に恐怖を感じさせる話です。この話の根底には、昔の精神病院に対する悪いイメージがありますが、現代の精神病院は「恐ろしい所」ではなく、「適切な治療を受けられる所」です。
法律は改正されましたが、移送制度の運用体制がまだ整っていない状況では、自主的に病院に行かなくてはなりません。自分で病院に行けない人のために、「良い環境が整った精神病院に連れて行ってくれる黄色い救急車」があるとしたら?躁うつ病などの精神疾患が増え続けている現代社会にこそ、「黄色い救急車」が必要なのかもしれません。