黄色い救急車は精神異常者を強制入院させる?都市伝説の由来と真相を検証!

救急車に限定すると、「黄色の救急車は存在しない」という結論になりますが、「精神病院が所有する一般車両」の場合、色の制限はありません。赤色灯やサイレンを使用した緊急走行は許可されていませんが、精神病院の名前が入った黄色の一般車両を目撃し、噂を真実だと思い込んだ可能性は高いといえます。

病院所有の患者搬送車は、その病院に所属している職員が乗車しており、一般車両の部類に入るので、赤色灯やサイレンは付いていませんが、救急車に非常に似た存在だといえます。現在では白色が圧倒的に多いのですが、過去には、精神病院が所有する黄色の患者搬送車が存在した可能性があります。

民間の患者搬送サービス車両の可能性

患者搬送サービス車両とは、緊急性が低く、救急医療を必要としない患者を搬送するための車両です。一般車両(福祉用車両)の部類に入るので、色の制限がなく、赤色灯やサイレンは付いていません。民間業者の職員が精神病患者を黄色の車両に乗せる場面に遭遇し、噂は本当だと勘違いした可能性があります。

この車両は、福祉タクシーや介護タクシーと呼ばれるもので、介護料が上乗せされますが、誰でも通常のタクシーと同じように利用することが可能です。「民間救急車」と称し、救急車と錯覚させるような宣伝を行っている一部の民間業者も存在しますが、救急医療も出来ず、受け入れを要請する回線も付いていません。

一部は事実

出典:PhotoAC

1960年頃の精神病院は、窓に鉄格子が付いているなど、「治療」よりも「収容」という傾向が強かった時代です。患者が暴れるために家族が病院へ連れていけない場合には、「医者が往診に行き、取り押さえて鎮静剤で眠らせた後、車で病院に搬送し入院させる」という対応をすることも多かったといわれています。

最近では、患者移送サービスがある警備会社の連絡先を伝え、「警備員が患者を取り押さえ、警備会社の車で病院に連れていく」という対応も多くなりました。噂には、『精神病患者の元には救急車とも言えない変わった車が来て、無理やり精神病院へ連れていき、閉鎖された部屋に入れてしまう』という事実が含まれているのです。

「黄色い救急車」の都市伝説はなぜ生まれたのか検証!

出典:PhotoAC

「黄色い救急車」は怖い話として語られるのではなく、「茶化すための言葉」として子どもたちに使われることで、全国各地に知れ渡りました。他の都市伝説と同様に、どのようにして生まれたかは分かっていません。この噂の生まれた経緯について、多数の報告をもとに4つの仮説を検証します。

都市伝説は約50年前から存在

出典:PhotoAC

日本で最初の救急車が1931年に配備され、1963年には、119番で救急車を呼べるようになったため、救急車は、1960年頃に全国的に普及したと考えられています。同時期の精神科は「収容」という傾向が強い劣悪な環境でした。この2つが結びつき、「黄色い救急車」という話が作られ、全国各地に知れ渡ったと推察できます。

この噂は、救急車の普及と共に徐々に知れ渡っていき、時間をかけて人々の間に定着したと考えられています。今から約50年ほど前の1970年代半ばには、架空の話としてではなく、事実に近い形で存在していたという情報があります。

NEXT 仮説①映画の描写