クサフグは釣り人からは厄介者扱いされることがほとんどで、ありがたがられる機会は少ないです。「外道」扱いされ、嫌われているため、積極的に釣りのターゲットとする人はほとんどいないようです。そのため、クサフグをターゲットとしたタックルの紹介などは残念ながらできません。
フグはカワハギの仲間!
しかし、フグは実はカワハギの仲間です。そのため、カワハギと似たような習性をもっています。カワハギは光を発するものに対して強く反応する性質があり、釣る際の小道具には「集奇」と「目玉おもり」があります。集奇は小さな金属板が組み合わさった集魚器のようなもので、目玉おもりはおもり自体がきらびやかにコーティングされており、キラキラと光る効果があるので、カワハギの注意を引くのに役立ちます。カワハギの仲間であるクサフグも、同様に光るものに対して強く反応するので、クサフグをターゲットとした釣りをする際にはこれらの小道具を使うようにするとよいでしょう。
クサフグの旬
秋の彼岸から春の彼岸まで
クサフグの旬の時期は他のフグ類と同様、秋から冬の終わりにかけて「秋の彼岸から春の彼岸まで」とされています。細かく言うと、9月ごろから3月ごろまでが旬ということですが、この期間はフグの繁殖シーズンと大きく関係があります。フグは、4月から6月にかけての産卵期に向けて肝臓が栄養を蓄えます。その肝臓から栄養を取り入れて発達する卵巣の毒性が非常に強くなるため、旬は春の彼岸までといわれるようになったそうです。ちなみに、トラフグなどの食用フグは冬場になると身がしまるだけでなく、濃厚で発達した白子を食用とすることが多いですが、、クサフグの白子はたべられないので注意しましょう。
クサフグの食べ方と料理
どんな料理でも美味しいけど毒には注意
クサフグはフグと同様においしく食べられる魚です。透明感のある白身は美しいだけでなく、良く締まっており、刺身なら他の魚にはないコリコリとした食感を、てっちりなどにすればふんわりとした上品な食感を味わうことが出来ます。みそ汁や鍋物、唐揚げ、お刺身、さまざまな食べ方があり、他のフグよりも比較的簡単に釣れるので、フグの味を気軽に楽しむことができます。ただし、あくまでもフグ類共通の毒は健在です。白身にも含有量こそ少量ですが、毒があるといわれておりますので、一度に食べる量は控えるようにしましょう。
クサフグの飼育方法
飼育用として人気なクサフグ
釣り人からはあまり良い印象を受けていないクサフグですが、そのつるりとしたかわいらしい姿と、怒るとぱんぱんに膨らむ習性、羽をパタパタと羽ばたかせるように泳ぐ様子から愛好家も多く、飼育用として流通することもあります。しかしながら、クサフグは非常に世話が難しく、初心者が手を出すと苦労することも多いようです。クサフグは細菌などから身を守る鱗を持っていません。そのため、細菌や環境の変化に弱く、水槽の水の取り換えやバクテリアの繁殖などには他の魚よりも注意をする必要があります。他の魚なら問題なく生活できる環境であっても、クサフグにとってはストレスを感じやすい環境という場合もありますので、魚の飼育を何度か経験している方が手を出すべきだといえるでしょう。
クサフグを飼うための環境とは?
水を清潔にすることでほとんどの病気を予防することができるので、クサフグを飼うときには、水を汚さないことを特に意識するようにしましょう。また、クサフグは非常に警戒心が強くて、デリケートな魚ですので、砂を水槽の底に敷いたり、水槽には基本的に一匹だけで飼う様にしたりと、クサフグがストレスを感じないような環境を用意するのがよいでしょう。クサフグは、清潔で細菌が繁殖していない水と、ある程度隠れることが出来る砂場などがある場所を好みます。水温は25℃前後、塩分濃度は1.016よりもやや上くらいを保てるよう管理しましょう。
エサを与える頻度や水替えの回数は?
クサフグは、警戒心の強い魚ですので、毎日エサを与えるよりも日を空けてたっぷりとエサをあげる方が効果的です。3日か4日に一度お腹いっぱいになるくらいエサをあげるようにしましょう。また、エサの量は個体差があるので、少しずつ与えて、食べなくなったところであげるのを止めるなどして、様子を見ながら与えるようにしましょう。食べきれない量のエサをあげると、水中環境を悪くすることにもつながります。水替えは月に2回行いましょう。水を替える際には、水槽の3分の1程度の水を交換します。近くに海があるという方は、人工海水を調製するよりも、海水を海から直接くんできて交換するほうが良いです。ただし、天然の海水は細菌が繁殖していることが多いため、光が入らない様に気を付けて保存し、紫外線ライトで殺菌して、ろ過した後に使用するようにしましょう。
クサフグは淡水でも生きられる?
クサフグは生息域は基本的に海水域なのですが、先述のように淡水域でも泳いでいる姿を見ることや釣り上げることがあります。クサフグは「広塩性魚類」といい、短期間であれば淡水中でも生息することが出来る魚です。しかし、あくまでも短期間であり、淡水中で生活し続けられるわけではありません。純粋な淡水中でも短期間は飼育することが可能ですが、長期の飼育には塩分が必要不可欠です。
クサフグのおすすめの混泳魚は?
基本的には一匹だけで買うのが理想
クサフグは、先述のように非常に警戒心が強いデリケートな魚です。そのため、基本的には60センチ四方の水槽の中に一匹だけで飼ってあげて、リラックスできる環境を用意してあげましょう。警戒心の低い稚魚の段階から他の魚と一緒に泳がせるのであれば多少ストレスをかけずに混泳させることが出来るかもしれませんが、成魚から飼うのでしたら、一匹だけで水槽に入れてあげるのが無難です。
クサフグは観賞用としても良し、食べても良しな魚
いかがでしたでしょうか。釣り人たちには『外道』としてあまり好かれていないクサフグですが、見た目は愛嬌があってかわいらしいですよね。食用としては小ぶりですのであまり食べるところがありませんが、飼育用としても人気があります。ただし、もしフグを飼おうとする場合には充分に注意しましょう。大変デリケートな魚ですので、水の温度や塩分濃度、清潔さには十分に注意して、快適な環境を用意してストレスをかけない様にお世話してあげましょう。