ブラックバスについて
「ブラックバス」は釣りをやらない人たちの間でも名前はよく知られていますが、実際どんなお魚なのでしょうか。初めに基本的な生態や特徴についておさらいしておきましょう。
ブラックバスは日本全国に生息している魚
ブラックバスは正式名「オオクチバス」という北米原産の淡水魚で、日本にはそもそも食用、釣り対象魚として1925年にアメリカから持ち込まれました。その後、放流が繰り返され、現在は日本全国の河川・湖沼に生息域が広がっています。
攻撃的な肉食性で繁殖力も強いという特徴があるため、現在は生態系を壊す「特定外来生物」に指定され厄介者扱いされることも多く、条例でキャッチ&リリースが禁止されている県もあります。
ブラックバスは食べることができる
日本へも、もともと食用として持ち込まれたはずのブラックバスですが、一般的には臭みが強くてあまり美味しくないお魚という印象をもたれています。
しかし、原産地の北米ではフライやソテーなど油を使った調理法で比較的ポピュラーな食用資源となっています。きちんと下処理をして、臭みがあるとされる皮や脂の部分をしっかり取り除く、揚げ物にする、といった調理をすれば、日本人の口にも合う、白身の淡白な美味しいお魚として食べることができます。
ブラックバスはお店で買えることはまずないので、自分で釣り上げてゲットするしかありません。「バス釣りにこれから挑戦したいけど、何から準備したらいいのかわからない」という方は、次の記事で、まずバス釣りタックルをチェックしてみましょう。
ブラックバスは栄養豊富
ブラックバスは、単に食用になるということだけでなく、実は体にいい栄養素を多く含んだお魚でもあります。それでは、どんな健康効能があるのかについてみていきましょう。
高タンパク低脂肪なブラックバス
ブラックバスは、同じ白身魚のタイ(鯛)に比べると、タンパク質含有量はほぼ同等ですが、脂肪分は10分の1程度のとてもヘルシーなお魚です。ブラックバスの一大生息地である琵琶湖に近い大津市の滋賀医大医学部付属病院では入院患者用の食事メニューとしてブラックバス料理を提供する試みも行われています。
栄養面だけでなく外来魚駆除の観点からも、釣れたブラックバスを料理して食べることを推奨している自治体もたくさんあります。その一方で栄養価の高さから肥料や家畜の飼料に利用する研究まで行われており、わたしたちの口に入らず動物のえさになってしまうという、とてももったいない現状があります。
ブラックバスはダイエットにも効果あり
ブラックバスは脂肪分が低いこともあり、カロリーも他のお魚に比べて低い数値を持っています。また血液中の中性脂肪やコレステロールを減らすタウリンの含有量も多いお魚です。
お魚の良質のたんぱく質に加え、低脂肪、低カロリー、高タウリンな食材であるということは、メタボリックシンドロームやダイエットに悩んでいる人にとって最適の食材だということです。現在はまだまだ食用としての認知度が低いですが、健康食材として、今後ますますクローズアップされてくるかもしれません。
ブラックバスは疲労回復も期待できる
ブラックバスが多く含んでいる栄養素タウリンは人間にとって欠かせない必須アミノ酸の一つです。人間はタウリンを体内で生成することもできるのですが、合成能力はあまり高くないので、足りない分を食物から摂取することがどうしても必要になってきます。
栄養ドリンクの成分としてよく使われているタウリンは、人間の体内で、肝臓の働きを助ける効能も持っており、疲労回復に効果がある栄養素です。高タンパク低脂肪、メタボ、ダイエットに効果あり、そして疲労回復と、ブラックバスは体にいい働きをたくさん持っている、ほんとうに優れた食材です。
ブラックバス料理を食べるときの注意点
日本人の食習慣においては歴史が浅いブラックバスを食べる際には、気を付けなければならない点がいくつかあります。注意を守らないと、単においしく食べられないということだけではなく、人体にとって非常に危険な事態を招くこともあります。それでは、注意点を順に見ていきましょう。
寄生虫に注意
淡水魚全般に言えることですが、ブラックバスも寄生虫の危険性がとても高いお魚です。よく見られるのは「顎口虫(がくこうちゅう)」という、淡水魚版アニサキスともいうべき寄生虫です。
人体に入り込むと皮膚内を移動し、引っ掻き傷に似たみみずばれやかゆみを引き起こし、ごくまれに内臓や目、脳に入り込むと最悪の場合、失明や体の麻痺などの後遺症を引き起こす危険性があります。感染した場合、外科的治療で取り除くか薬物投与で死滅するのを待つしかありません。
生食は絶対しない
寄生虫の危険を避けて、安全に美味しく食べる方法はただ一つ、必ず火を通すことです。お酢でしめてもこの顎口虫はなかなか死なない寄生虫なので、十分に加熱調理するのが一番確実です。一部のマニアの間で、ブラックバスのお刺身は絶品とも言われていますが、生食は絶対にやめましょう。
下処理はしっかりしよう
ブラックバスが食材として敬遠される一番の理由は「臭い」というイメージです。しかし逆に言うと、その臭みの原因を取り除き、しっかり加熱調理すれば、白身のとても美味しいお魚に変身します。
体にいい栄養をたっぷり含んだお魚ですから、せっかく食べるなら美味しくいただきたいですね。ブラックバスを食べるときはきちんと下処理をすることが重要なポイントです。
ブラックバス料理を食べよう|下処理
釣り上げたブラックバスは、きちんと手順を踏んで処理してから調理しましょう。それでは美味しく食べるための下処理の方法についてご紹介します。
ブラックバスの下処理①まずは泥抜きをしよう
ブラックバスは泥や砂を直接飲み込む習性はないので、泥抜きは必要ないという意見もありますが、臭みの可能性を少しでも取り除きたいと思われる方は泥抜きを行いましょう。