やり方
では実際にヒキリ板のくぼみにヒキリ棒を当てて錐揉み開始です。掌の小指側をヒキリ棒に充てる様にして、板方向へ2~3キロ程の圧をかけながら回していきます。この時折角できた火種や木くずやがちらばらない様、ヒキリ板が動かない様に誰かに押さえてもらうか足でしっかり押さえておくことが必要です。
最初はそこまで速く回す必要はありませんが、煙が出てきたら回転スピードを上げ、その摩擦で火種を作っていきます。木くずの中から煙が立ち、線香の様な火種が出来ますので、こちらを用意していた燃えやすいもぐさや硫黄などに点火します。炎になったら、そのまま焚火の火起こしに使うのも良いですし、ローソクに移しておくのも良いですね。
根気が必要
達人ともなれば1分足らずで発火させることも出来ますが、初心者はそうはいきません。ただひたすらに15分ほどヒキリ棒を回し続ける根気が必要です。折角火種が育ってきても、そこで手が疲れてしまっては最初からやり直しになってしまいますので、最初は複数人で順番にヒキリ棒を回し続けるのが得策です。ポイントは『速さ』よりも『下への圧力』です。
サバイバルでの火起こし方法!ナイフ一本で火をつける!
刃渡りが10~15センチほどのサバイバルナイフ。これが一本あれば何でもできてしまうのがサバイバルです。もちろん火起こしだってナイフ一本で出来てしまいます。これまで紹介してきたキリモミ式の火起こしを、自然の恵みの中から道具を揃えてやってみましょう。
道具は自然の中から集める
自然から得る火起こし道具に一番大切なのは、良く乾いていること。足元の枯草や立ち枯れている木は良く乾燥しており水をほとんど含まない上、組織を腐らせてしまう菌類もいないため狙い目です。
ヒキリうすを作る
もちろん自然に板は落ちていないので、直径数センチのスギやヒノキなど針葉樹の枯れ枝を削りだして厚さ1センチほどの板を作ります。板の端から1.5センチ程のところにヒキリ棒をこすりつけてくぼみを作ります。このくぼみの中心より気持ち外側を頂点とするV字の切りかきを作ります。
ヒキリきねを探す
ウツギやアジサイ、ヨモギやセイタカアワダチソウといった、太さ1センチ程度、1メートルほどのまっすぐで空洞が空いている棒を用意します。なぜ空洞の空いているものが良いかと言うと、単純に空洞がないと摩擦が大きくなってしまい、ヒキリうすに早く穴が開いてしまうからです。更には削りかすが出やすく、結果火種が生れやすいという理由もあります。
火口になる燃料
折角できた火種を育てるためには燃料が必要です。厚手の枯葉を数枚、枯草と小枝をそれぞれ一掴みずつ用意します。しっかりと乾燥しているものを集めてください。
火のつけ方
枯葉を広げ、その上にV字の切りかき部が来る様にヒキリうすを乗せます。ヒキリきねをヒキリ板のくぼみに2キロほどの力で擦りつけて行きます。根気よく続けると摩擦でつくられたカスがたまり、ここから煙が立てば火種の完成です。火口用に用意した枯草の中に火種を入れこみ、しっかりとつつんで内部の熱を育てます。
この時点ではまだ空気は不要です。少し手に熱を感じてきたら、少し枯草を開いて息を吹き付け空気を送り込みます。徐々に煙が増え、ある瞬間を境に火が上がります。予め組んでおいた小枝の山の下へ入れれば、間もなく火が移り燃え始めます。