コバンザメは、ジンベエザメといった大型のサメ類やカジキ類、ウミガメ、クジラ、マンタなどに吸い付き(一緒に泳ぐことから併泳[へいえい]といいます。)、彼らのえさのおこぼれをもらったり、寄生虫や排泄物を食べたりして暮らしています。このような暮らし方は、一方が利益を得るもののもう一方は何も利害が発生しない片利共生[へんりきょうせい]といわれ、ジンベエザメとコバンザメなどの関係に代表される共生の仕方となっています。
絶対安全ではなく、宿主に食べられることもある
大型のサメ類に吸い付いて生活をするコバンザメですが、嫌われたのか、はたまた事故なのか、吸い付いた先の宿主に食べられてしまうこともあるそうです。
別居を余儀なくされることも
ちなみに、先にご紹介した大阪の海遊館では、一緒に泳いでいたジンベエザメが身体をひねらせたり、泳ぐ速度を上げて振り払おうしたりするなど、コバンザメのことを嫌がるような行動を起こす様子が見られ、結果的にジンベエザメから嫌われたコバンザメが別の水槽に移されたことが話題となりました。宿主から嫌われることで独り立ちを余儀なくされるコバンザメもいるようです。
コバンザメの釣り方
コバンザメの釣り方はある?
大きなものに付いて生活をし、単体で泳ぐことが少ない魚であるがゆえ、コバンザメを釣りたいと思ったときに、果たしてコバンザメをどのように釣ればよいのか疑問に思われる方も少なくないのではないでしょうか。このことは、普段の生活のなかで、たとえばスーパーの鮮魚コーナーでコバンザメを目にすることがほとんどないことから想像できるように、コバンザメを直接狙って釣るのは非常に難しいということを意味しています。
おこぼれをもらう釣り方のスタイルがよさそうです
それでは、漁師さんの定置網に引っかかっているのではないか、といった予想も立つと思いきや、その期待もむなしく、定置網にかかることもまれといわれています。そのため、コバンザメを釣りたいと思ったときは、コバンザメを直接狙おうとするのではなく、別の魚を狙っていてたまたまコバンザメが釣れるといった、まさにコバンザメのように“おこぼれ”をもらうようなスタイルで狙うほうが効率的なのかもしれません。
それでもやっぱり自分で釣りたい!
暖かい海域での投げ釣りなら狙える
おこぼれをもらうスタイルではなく、自分の手でコバンザメを釣りたいという場合はどうすればよいのでしょうか。コバンザメの生態のところでご紹介したとおり、コバンザメは比較的暖かい海域で、かつ、浅い海を好んで生活していますので、日本であれば、本州の南側のなかでも九州や沖縄にある防波堤から投げ釣りで狙うことが可能とされています。
釣りやすい時期は産卵期が狙い目
釣りやすい時期としては、コバンザメの産卵期は5月~8月といわれていますので、産卵の準備のために海面または浅いところにあらわれることが多いこの時期を狙うのがよいかと思われます。
仕掛けは何でもいけます
実際に釣ろうと思ったときに、何をエサにして釣ればよいのか迷うところ、コバンザメは何でも食べる雑食性のため、万能な釣りエサとして知られるゴカイを用いるのが無難です。ゴカイであれば、比較的どこでも手に入りますし、扱ったことがあるという人も多いと思いますので、その点で準備面のハードルは低いといえます。
コバンザメの味は?美味しい?
コバンザメの味とは?
ここまでコバンザメの特徴や生態、釣り方についてみてきましたが、やはり気になるのは味かと思います。食べることを考えた際、サメは一般的にアンモニア臭が強く敬遠されがちであるため、そのサメと同じ名前を持つコバンザメについても、美味しさからは程遠いと思われることが多いようですが、実際のところは、そのようなことはなく、スズキのようなわりと品のある味わいがするといわれています。
コバンザメ料理のオススメ
オススメの食べ方は、やはり刺身!
スズキのような味わいということであれば、やはり刺身がよいといえます。もちろん、新鮮な状態のものであればということになりますが、刺身で味わうコバンザメは、上品さやうまみ、清涼感などを味わうことができます。新鮮な状態のものでなければ、スズキと同様に塩焼きで食べるのが外さない食べ方であるといえるでしょう。また、出汁をとって、汁物のなかに入れることで、刺身や塩焼きとは違った美味しさを楽しむことができます。
まとめ
どことなく愛らしいビジュアルや、ぴったりと寄り添って泳ぐ姿、おこぼれにあずかってつつがなく生きていく姿には、世渡り上手な一面を感じ取ることができ、そのようなコバンザメに親近感を抱く方も少なくないのではないでしょうか。「コバンザメ商法」といった、皮肉を意味する言い回しも一部見られますが、それを抜きにしても、愛すべき要素がコバンザメにはあるといえるでしょう。今後、コバンザメ人気が出ることも期待できますね。