あまりお会いしたいと思えないウオノエですが、かつては縁起物として重宝され、人々から「めでたや」と歓迎される存在でもありました。
では次からはその由来や、彼らのもう一つの名前についても触れていきましょう。
ウオノエの別名「タイノエ」
ウオノエのもう一つの名前、よく知られた別称として「タイノエ」という呼び方があります。
漢字で表記すると「鯛ノ餌」、鯛の口内で見かける機会が多かったからです。地方によってはウオノエよりこちらの呼び名の方がよく知られているぐらい、とてもポピュラーな別名です。
ウオノエは縁起物
かつては釣りあげた鯛にタイノエ(ウオノエ)が入っていたら「おお!この鯛は”あたり”だな!」と喜んだといいます。
確率的にはタイノエのいない鯛のほうがずっと多いので、今でいうレアリティ感があったからでしょう。やがて引き当てると縁起の良いものとして扱われるようになりました。
鯛之福玉と呼ばれ重宝される
タイノエにはもっと古いあだ名があります。それが「鯛之福玉」です。もはや当たりクジのような扱いを受け、引き当てると金運上昇など吉兆を招くものとされました。
口の中で夫婦仲良く暮らしているところも良かったようで、タイノエつきの鯛はよく結婚式の振る舞として重宝されました。
ウオノエを食べた勇者たち
いくら無害と判明したとはいえ、やっぱり積極的に食べるのは…。一部地域では食べる習慣もあるそうですが、そうでなければ躊躇する人がほとんどだと思います。
ですが世の中は広く、チャレンジャーもたくさんいるものです。ここからは果敢にもウオノエ調理に挑んだ猛者たちの食レポをお届けします。
見た目が無理なウオノエの素揚げ
まずは基本の揚げ物です。甲殻類に近い構造ということで殻ごと素揚げに。
身は弾力があるものの量が少なく、そのため食感はスカスカして物足りない。不味いわけではないものの、海老や蟹のほうが断然おいしいようです。
虫がわいたようなウオノエの炊き込みご飯
また、ウオノエを炊き込みご飯にしてしまった人も。調味料と一緒にまるごと炊飯器で炊き上げた結果、蜂の子ご飯に似た強烈なビジュアルになりました。
蟹のような出汁がよく出てごはんはおいしくなったものの、身はぱさぱさと出涸らし状態になってしまいました。調理法としては醤油漬けや佃煮のほうが向いていそうです。
口直し!とってもかわいい海の生き物
ちょっとお話がグロテスク寄りになりつつあるので、一度軌道修正しておきましょう。海の生物にだって、抱きしめたくなるようなかわいらしい生き物はたくさんいます!
水族館でも大人気の愛されキャラ、海のアイドルたちをひとつずつ紹介しましょう。
チンアナゴ
水族館の代表的なゆるキャラ的海洋生物、浅瀬の砂底からちょこんと覗かせた顔が愛らしいチンアナゴです。名前の由来は犬の狆に顔が似ているからということ。
老若男女問わず愛されるあまりに、歌まで作られてしまったという人気っぷりです。
カクレクマノミ
アニメ映画で飛躍的に知名度を上げたカクレクマノミ、いそぎんちゃくの中に住んでいることでも有名ですね。
けれども実はアニメの主人公はクラウンフィッシュという種類で、カクレクマノミとは違う魚です。舞台となったグレートバリアリーフはカクレクマノミの生息域ではないのです。
メンダコ
最近人気急上昇、深海生まれのゆる~いアイドル、メンダコです。最近は静岡県の沼津港深海水族館が、世界でまだ2例しかない卵の孵化を成功させるという快挙を成し遂げました。
なおメンダコに関する詳しい情報は次の記事からご覧いただけます。
寄生虫が人間を助けることもある
寄生虫に取りつかれるなんてぞっとする話ですが、ウオノエのように宿主を死なせてしまうものばかりではありません。
それどころか近年研究が進み、時に私たち人間を助け、役に立ってくれるような寄生虫がいることがわかってきたのです。以下にその具体例をお伝えしていきましょう。
アレルギーを抑える
サナダムシのような回虫を宿している人は、そうでない人に対して花粉症やアトピーを発症する確率がとても低いことが分かっています。このことに着目した免疫学者の藤田紘一郎博士は、回虫がアレルギー抑制物質をもたらすこと解明しました。
博士は長年「過度の清潔は逆に病気を招く」と提唱しつづけています。
ダイエット
腸内に寄生虫が宿ると、体脂肪の燃焼が促進され、痩せやすく太りにくい体になることが実験により立証されました。
寄生虫から出る物質が肥満解消につながる細菌を増殖させ、腸内環境を向上させてくれるのです。
栄養補助食品
ブタ鞭虫という線虫の卵、それをあえて人体に取り込むことで、免疫システムを向上させるという研究があります。先の藤田博士と同じく、度の過ぎた清潔が免疫を不調にさせているという発想です。
健康に害が出ないよう、寄生虫の利点だけを取り込もうとする試みで、将来的にはサプリメント(健康補助食品)として販売される可能性があります。
否定的な意見もある
ただし、寄生虫を利用した治療に関しては賛同の声ばかりではありません。英国の博士によると「寄生虫は完全無害とは言い切れない。副作用で深刻な事態にもなりかねないので、医師の監督は絶対不可欠である」とコメントしています。
間違っても不明瞭なルートから自己判断で寄生虫を取り入れてはなりません。
鯛の口からひょっこりはん「ウオノエ」はやっぱり閲覧注意だった
ウオノエの魅力は万人におすすめできるタイプのものではないようです。魚の口からひょっこり顔をのぞかせる様子や、寄生虫としての実態にのけぞって拒否反応を示す人もいることでしょう。
ですから、もしこの記事を気に入って、他の人にも好きになってほしかったとしても、情報は小出しにしながらプレゼンすることをおすすめします。
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