アブラツノザメの生態①特徴
アブラツノザメは体長70cmから100cmのサメで、私たちが一般的に想像するような典型的なサメの形をしています。背びれの辺りには弱い毒を持った棘があるので、触る時には注意が必要です。体の、特に腹側に白い斑点が細かく点在しているのが特徴的です。
アブラツノザメの生態②分布・生息地
アブラツノザメは寒帯や少し寒い温帯域の海に生息しており、日本海より北か、太平洋側では相模湾より北に生息していると言われています。アブラツノザメは海面付近から深さ900mの深海でも生息することができ、寒い地域だと海面付近に、その他は深海の海底近くにいることが多いようです。
日本では福島県や青森県、宮城県、北海道周辺が、アブラツノザメの産地として有名です。特に青森県はアブラツノザメ漁が盛んだと言われています。東北や北海道で水揚げされたアブラツノザメは、頭を落とされ皮を剥がれた状態で関東に出荷されます。この状態は「棒ざめ」と呼ばれ、スーパーなどで見かけることができます。
アブラツノザメの生態③生態と食性・天敵
アブラツノザメの生態
アブラツノザメは卵胎生で、産まれた時は20cmから30cm前後しかありません。メスは約12年で成熟するのに対し、オスは約6年で成熟します。メスの方が比較的大きいのが特徴です。寿命はかなり長く、25年から30年生きる個体もいると言われています。
アブラツノザメの食性・天敵
アブラツノザメは海底の岩石などに付着している藻やサンゴなど、いわゆる底生生物と呼ばれる生物や甲殻類などを食べています。サメの一種ですが、人間は食べません。人間を襲うサメは全サメ500種のうち6種だけと言われています。
一方でアブラツノザメには、それを捕食する生物、つまり天敵が多数います。特に中~大型の哺乳類はアブラツノザメの天敵として有名です。また少し異例ですが、アメリカの水族館では、アブラツノザメがミズダコと呼ばれる巨大ダコに捕食された事件もあり、その映像は自然界の弱肉強食を改めて実感させてくれます。
アブラツノザメの釣り方①時間帯
アブラツノザメ自体は基本的にどの時間帯でも釣れることがあります。このため「アブラツノザメならこの時間!」というのではなく、魚全般的にどの時間帯が釣れやすいのかを工夫する必要があります。魚が釣れやすいのは魚がご飯を食べるタイミングだと言われており、この時間帯を時合と呼びます。
時合を見極めよう
時合の目印は①中潮、②上げ七分下げ三分、③マズメと言われています。中潮とは干満の差が大潮の次に大きい時で、最もよく釣果が良くなるのは、大潮後の中潮と言われています。また上げ七分下げ三分とは、満潮と干潮の間で干潮から7割、満潮から3割の水位となる時間帯のことで、満潮前後の4時間がそれに当てはまります。
最後にマズメとは周囲が薄暗くなる時間帯のことで、夜が明ける直前の「朝マズメ」と日が沈む黄昏時の「夕マズメ」があります。この時間はプランクトンの動きが活発になり、プランクトンを狙う魚が動き出すため、釣果が上がりやすくなると言われています。マズメについてはこちらの記事で詳しく説明しておりますので、参考にしてみてくださいね。
アブラツノザメの釣り方②釣り方とタックル
アブラツノザメは通常、延縄漁や刺し網漁、底引き網漁で捕獲されるため、アブラツノザメだけを釣ることはあまりありません。アブラツノザメは大きいものだと100cmを超えるため、アブラツノザメを狙う場合は、強いタックルを使う必要があります。またアブラツノザメは泳がせ釣りが主流のため、泳がせ釣り用のタックルを使うと良いでしょう。泳がせ釣りについてはこちらの記事を参考にしてみてくださいね。
アブラツノザメを狙う時のロッドは磯竿が基本ですが、磯竿を持っていない場合はメタルジグを陸から投げて鯛や青魚を狙うショアジギングで使う、ショアジギングロッドを代用することができます。アブラツノザメは大型の魚なので、リールはナイロンの4号以上を使うのがおすすめです。
アブラツノザメの釣り方③仕掛けとエサ
アブラツノザメの仕掛けはエレベーター式が主流と言われています。エレベーター式の仕掛けとは、大物狙いの泳がせ釣りで使われている様式の1つです。仕掛けの造りは単純で、道糸に錘を付けて水中に投入します。そして魚をハリスに付け、スナップを道糸に付けて、エサを水中に泳がせます。
アブラツノザメを釣る時は生きた魚を使います。泳がせ釣りでは、通常アジやイワシをエサとして使います。エサとなるアジは鼻掛けという方法で針に付けます。これはアジの目と口の間に針を刺す方法で、体を傷つけずにアジを長持ちさせることができると言われています。
アブラツノザメの味
新鮮なら刺身もイケる!アブラツノザメの刺身
アブラツノザメは白身魚ですが、身が少し赤みがかっているのが特徴で、桃色に近い乳白色をしています。クセのない味が特徴で、新鮮なうちは刺身でも食べられます。しかし死後時間が経つと、サメ特有のアンモニア臭がすることがあり、ほとんどの食用サメと同様に、新鮮さが失われたアブラツノザメは練り物用として売買されるようです。
歴史は縄文時代から!食材としてのアブラツノザメ
また他の食用サメと比べて、非常に脂が乗っているのが特徴で、「煮ても固まらないサメ」という意味でアブラサメと呼ばれていたと言われています。また小骨が少なく、火を通しても身が硬くならないことから、家庭料理の食材として親しまれています。