ハコフグってどんな魚?
ハコフグの生態
ハコフグ(箱河豚、英語名Boxfish)とはスズキ系フグ目ハコフグ科に属する魚です。体長は25~40cmほどに成長します。その名の通り、箱のような見た目をしている可愛らしい魚です。前から見ると四角形、横から見ると五角形の形をしています。
ハコフグの分布
ハコフグは海水魚です。北海道以南の沿岸に広く生息していて、各地で食用として親しまれています。特に島根県、長崎県ではよく獲れるとされています。比較的浅い海の岩礁域におり、小さな甲殻類やゴカイなどを餌として生活しています。
ハコフグの生活史
普段は群れにならず、単独で生活しています。産卵期になるとオスとメスがペアになり、繁殖します。オスは背中が鮮やかな青色をしており、メスは青くないことから見分けることができます。
ハコフグの特徴は?
鮮やかな体色と四角いフォルムが特徴
黄みがかった体色に、青色の斑点模様が特徴です。ぷっくりとした可愛らしい見た目とは裏腹に、体は鎧のように硬く頑丈な作りになっています。骨盤が変化して四角い箱型になっており、内臓や筋肉を守っています。また体表は六角形の板状の非常に硬い鱗で覆われています。この骨格と鱗が鎧となって、外敵から身を守っているのです。よほど歯の強い魚でない限り、ハコフグを傷つけることはできません。
歯の構造はカワハギに似ている
ハコフグの顔はくりくりとした丸い目に、尖ったおちょぼ口が印象的です。他のフグ科の魚たちがペンチ状の歯板を形成するのに対し、ハコフグの歯は尖った口の先端に鑿(のみ)状の歯が集まって形成されています。これはカワハギの歯の構造によく似ています。
ハコフグには毒がある?
ハコフグは2種類の毒を持っている
フグと同様、ハコフグにも毒があります。しかし、他のフグがもっているテトロドトキシンという猛毒は持っていません。だからといってハコフグの毒性が弱いのかというと大間違いです。ここではハコフグが持っているふたつの毒性について説明します。
皮膚から出るパフトキシン
ハコフグは危険を感じると、皮膚表面から「パフトキシン」という毒を含んだ粘液を放出します。このパフトキシンは魚に対する毒性が強い為、同じ水槽にいる他の魚たちを死なせてしまったり、自身の毒で自らも死んでしまうことさえあるのです。
内臓にあるパリトキシン
またハコフグは内臓に「パリトキシン」という毒を持っている可能性があります。このパリトキシンは、他のフグが持っている猛毒テトロドトキシンの数十倍もの毒性があり、いわば超猛毒です。パリトキシンは摂取すると、激しい筋肉痛や呼吸困難、全身の麻痺などを引き起こし、最悪の場合死に至ります。
パリトキシンはもともとハコフグの内臓で生成される訳ではありません。餌から摂取したパリトキシンがハコフグの内臓に蓄積・濃縮されていく為、毒性の有無や強さには個体差があるのです。
ハコフグはどうやったら釣れる?
釣りの外道としてたまたま釣れる
ハコフグは基本的には狙って釣る魚ではありません。ウキフカセ釣りなどで寄せ餌に集まってきたものが釣れたり、クロダイ釣りなどでも外道として釣れることが多いです。これはクロダイ釣りで使うサナギ餌への反応が良いためです。6月~10月が釣り期とされています。
ハコフグの美味しい食べ方は?
ハコフグは毒さえ注意すれば非常に美味しく食べられる魚です。硬い鱗は焼いてしまえば簡単に剥がすことができます。一般的な食材ではないですが、各地でローカルな食材として親しまれています。ここではハコフグの美味しい食べ方をいくつか紹介します。
かっとっぽ
長崎の五島列島ではハコフグの味噌焼き「かっとっぽ」が、郷土料理として古くから愛されています。お昼の情報番組「ヒルナンデス」でも取り上げられ、話題になりました。柔らかい腹部に孔を開け、味噌と合わせて炭火でじっくり焼いた料理です。お酒のあてに最適です。
刺身
ハコフグは他のフグと同様、刺身としても食べることができます。淡白でクセのない味わいが好まれています。身は透明で弾力があり、甘みが強いとされています。
一夜干し
干したものを焼けば、旨味が凝縮されより濃厚な味わいを楽しむことができます。こちらもお酒のあてに最高です。
ハコフグを食べる時の注意点は?
そんな美味しいハコフグですが、食べる時にはいくつか注意点があります。