カスベってなに?
あまり聞きなれない「カスベ」魚の種類だよ、と言われなければ、場所のことなのか道具なのかさっぱり見当もつきません。実はカスベは「エイ」のことなのです。カスベ(エイ)の生態やカスベの由来、釣り場や釣り方から美味しい食べ方まで詳しくご紹介します。
カスベを知ろう
生態
カスベはガンギエイ目ガンギエイ科に属する魚です。軟骨魚類の魚ですべてが軟骨でできているので、食感はこりこりとしています。主にエビやカニなどの甲殻類を捕食している肉食魚です。体は平べったく、ほほの部分が肉厚です。長い尾にはとげや毒を有します。エイ全般の総称です。産卵期は春、長方形で卵殻に包まれた卵を産み、その形から「カスベのタバコ入れ」と呼ばれています。大きさは尾を除いて1メートル前後です。
種類
カスベという名前が付いている魚には、コモンカスベ、ソコガンギエイ、ドブカスベ、メガネカスベ、リボンカスベなどいます。主に食用とされるメガネカスベを指すことが多いので、メガネカスベを中心に説明してきます。メガネカスベは体に眼鏡のような模様があり、眼鏡をかけている様が似ているため、この名前が付きました。
生息地
北海道沿岸から九州南岸の日本海や太平洋などカスベの生息地は全国に見られます。砂地や干潟で砂に潜って体を隠し、獲物が来たら体を覆いかぶせゆっくり食事をします。カスベの生息地は日本全国ですが、産地としては主に北海道や青森など寒い地域で水揚げされます。
旬はいつ?
カスベの種類にもよりますが、メガネカスベは10月ごろから漁獲量が増え、春先の産卵期まで、寒い時期が旬となります。寒い時期のカスベは脂がのり、肉厚になってくるのでこの時期に多くスーパーに並びます。カスベは水揚げされても胴体部分は捨てられてしまい、ヒレとほほ肉のみが食用として流通されます。関東には皮をむかれヒレだけの状態で入ってきます。産地の北海道や青森と比べるとややお値段はやや高めです。
カスベの歩み
名前の由来
カスベはエイのことですが、地方名、特に北海道名でカスベと呼ばれています。なぜカスベという名前になったのでしょう。それは魚のカスとして扱われていたため「カスッベ」がもとになっています。美味しくない、平べったくて食べるところが少ない、捨てるようなカスばかりという認識でカス扱いされていたのでしょう。浅瀬に生息しており、人の目につきやすい事から昔から馴染みのある魚として親しまれています。
カスベの現状
カスベは日本と韓国では食用として消費される種で、特に韓国では高級魚として市場に出回っています。結婚式やおめでたい席で食されることがあり、日本のように日常で食卓に上がることは少ないようです。近年カスベはその個体数の減少がみられており、特に中国の沖合では乱獲や環境破壊から国際自然保護連合ではメガネカスベを保護対象として評しています。
カスベと北海道
カスベは主に北海道に多く出回り、数ある種類の中でもカスベといえば「メガネカスベ」のことを指しています。メガネカスベは「真カスベ」とも呼ばれカスベの中では肉厚で味が良いことから、冬になるとカスベ料理が多く並びます。北海道ではカスベという名前が店名になるほど認知度が高く、定番料理として食卓で目にします。実はカスベは北海道や東北のみならず、フランス料理としてフランスでも食べられています。北海道と同じく家庭料理として認知度は高く、好まれて食されています。ムニエルや香草焼きなど身近な料理なのです。
カスベを釣る
カスベを釣るにはどうしたらよいでしょうか。カスベの釣り場は北海道稚内から天塩の沿岸部です。あまりメジャーな釣りではないようで、釣り場は北海道の一部でしか行われていません。カスベ釣りのシーズンは寒い時期の冬から春、産卵シーズンが近づくと深い砂地に潜っているカスベが上昇し接岸してくるためです。地元では「一晩粘る釣り」とも言われている魚で、ワンシーズンで1匹釣れればよい方だといわれています。仕掛けは胴突き仕掛けを使います。胴突き仕掛けは多種多様な魚を釣るのに適した仕掛けで、シンプルに釣りを楽しめることが特徴です。2,3メートルの万能竿に仕掛けをつけ、下にオモリをつけます。針は2,3本ハリスについています。オモリは狙ったポイントを捉えるために重めのオモリを使用する場合もあります。またカジカ専用の仕掛けで釣る人もいます。1メートル超える大物だと引きが強く、ゲーム性が高いため人気があります。