ウナギの生態を徹底解説!実は謎の多いその生態を様々な角度から解説!

ウナギは体の表面に出ている粘液にも毒を持っており、じつはこちらのほうが血液の毒より強いと言われています。精製した毒をマウスに注射すると1ml分で数千匹を殺せるそうです。しかし成分が不安定で、マウスへの経口投与では異常が見られなかったことから人間が食べても問題ないとされています。

毒があるのに何で食べられるのか?

ウナギの毒の主成分はタンパク質なので、60℃以上で5分以上加熱すると変性して無毒化します。つまり蒲焼きなどになってしっかりと火が通っていれば、毒を気にせずに安全に食べられるのです。

逆に言えば、ウナギの刺身は生の血がついている為食べてはいけません。完全に血抜きをして刺身を提供している店もあるようですが、素人にはできませんので必ず加熱して食べるようにしましょう。

ウナギの毒への対処法を紹介

Gentle07 / Pixabay

ウナギのつかみどりをしたり、さばいたりする際には手にあかぎれやささくれなどがないかしっかり確認してから行うようにしましょう。傷がある場合や肌が弱い人などはゴム手袋などをして触るようにしてください。初心者がさばく時には血が飛び散りにくい背開きがおすすめです。

また、触った手で別の食品を持って食べたり、顔などを触ったりしないように気を付けましょう。万が一ウナギの毒で炎症などが起きてしまった場合、まずは患部をきれいに洗い流し、早めに病院にかかるようにしましょう。

ウナギと人との関係

ウナギと日本人との関わりは古く、なんと約5000年前の縄文時代の遺跡からウナギの骨が発掘されたことがあります。古事記や万葉集にも登場し、古くから食用とされていたことがうかがえますが、かつては今のように開いたものではなく、ぶつ切りにしたウナギを串刺しにして焼いたものでした。

現在のようなウナギの蒲焼きの形になってきたのは江戸時代で、1800年代から外食としてウナギを食べる文化ができてきました。しかしきちんと店を構えた高級店はさほど多くなく、屋台のような形や天秤棒で焼きながら売り歩く庶民的なお店が多かったといいます。

食用としてのウナギ

ウナギは調理法がほぼ「焼き」に限られる珍しい魚です。それは毒により加熱しないと食べられないのも一因ですが、ウナギは身にコラーゲンが多く生ではかなり身が固いですが、加熱するとゼラチンに変化してふんわりと柔らかくなります。その柔らかさを最も味わえるのが焼きという調理法なのです。

ウナギが入った慣用句

ウナギは昔から人との関係が深い為、その性質や見た目を利用して慣用句にも使われています。例えば「ウナギの寝床」という言葉がありますが、これは間口(入口)が狭くて奥行きがある家や場所を指す言葉で、ウナギがよく隠れている場所からとったものです。

また、「うなぎのぼり」とは、物価、評価や数値などが急激に上がったり増えたりすることを言います。この由来はウナギが急流や崖などでも上っていく為とか、ウナギの体はヌルヌルしている為につかもうとすると上へ上へと逃げていく為とか言われています。

ウナギの養殖について

ウナギの養殖は現在のところシラスウナギを捕獲して育てる方法がとられています。しかし近年シラスウナギの量は減っており、1960年代には200t以上獲られていたのが、近年では十数t、2018年は9tを下回っています。

また、ウナギの成魚の漁獲量も右肩下がりに減っていて、資源の減少、ひいては絶滅も心配されている状況です。しかしまだまだ謎が多く、卵から育てる完全養殖には至っていません。研究の推進と資源の保護が両方重要で、今のままだとウナギが食べられなくなる日が来てしまうかもしれません。

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