甲山事件とは?冤罪判決まで20年!無罪判決までの裁判の内容など

山田さんに対する報道でもあるように、さまざまな事実とは違う人物像が作り上げられたりすることがあります。これは、いったいどういうことが深層心理に潜んでいるのでしょうか。犯罪を犯したと思われる人をとても素行に問題があるように報道する意図は何なのでしょうか。例えば、人々は犯罪者が素行が悪い人物であってほしいのでしょうか。

犯罪者が悪いほど世間が注目する?

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よく聞く言葉に、「人の不幸は蜜の味」という言葉がありますが、人は他人のポジティブなことよりネガティブなことの方が注目したり、会話をするのが好きという点からも犯罪者が悪い人物であればあるほど、盛り上がってしまう人が少なくないと言えます。なので報道は悪い人物像を作ることによって、人々に集めるのを狙ってやる可能性もあります。

犯罪者にそうあってほしいという心理

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加害者だけでなくて被害者にも言えますが、人は深層心理で事件起こす人や巻き込まれた人も素行に問題がある人物であってほしいという心理が働くこともあります。事件に関わる人が自分と同じ日常的に生きてる人間であってほしくないと思うという心理が働いてる可能性があります。しかし時にはその心理によって危険にさらされる可能性もあります。

特殊な世界の話にしたい

恐ろしい事件が起きた時は、私とは無縁のところで起きたごく限られた人々の話だとすることによって、不安を払拭したいという心理が働きます。時には、必要以上にその人の人格についても、嫌がらせをしたりして非難するような危険な展開になることもあります。誤解のないように言うと、このような心理を全ての人が有しているわけでありません。

時にはその心理が仇になることも

連続殺人犯や凶悪犯の周囲の報道でよくあるもので、そんな人とは思わなかったという話がでてきます。これは強調するためのギャップのための報道の演出でなく、真実である可能性が高いです。なぜなら、シリアルキラーなどが何度も犯罪を重ねることができるのは、この人は普通の人だと思われることの達人であるケースも少ないからです。

事件の当事者たちに対して非難するまえに

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何か事件が起こった時に、自分が安堵するために、加害者もしくは被害者を非難したり、悪い人物に仕立てあげてないか、ひと呼吸ついて自分の心に聞いてみることをおすすめします。冤罪によって苦しんだ山田さんのように、あらぬ話までたてられて、深く心を傷つけることはとても残酷なことだと言えます。できる限りフラットでいるべきです。

甲山事件の警察の問題点

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なぜこのような冤罪が起こってしまったのでしょうか。影響を与えていた要素について考察していきます。何よりも大きかったのは警察の対応にあると言われています。何かを解決するということは時には難しく繊細なものです。しかしだからと言って、人々に対して強引な操作や取り調べをして、二次的に不幸を増やしてしまっては元も子もありません。

甲山事件の警察の問題点①殺人と決めつけて捜査

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実は、当時障害者の施設には、死亡事故が多発していました。そして、原因については不明な点が多いケースが多く、殺人事件と言うより事故という扱いで処理されていることが少なくありませんでした。しかし、甲山の件では同じ浄化槽で二人も連続で亡くなったとうい点から、偶然とは考えづらく何者かが殺害したのではと決めてかかりました。

甲山事件の警察の問題点②脅しともとれる理不尽な尋問

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尋問の中で犯行を行っていないならアリバイを証明しろと迫られました。もし言えないならば山田さんが犯人ですと言われ説明ができたのなら釈放すると詰め寄られました。山田さんは記憶を頼りに思い出そうとしましたが、あいまいな部分も思い出せない部分に関しては、無意識に犯行を行ったから思い出せないと言われて悪質な尋問を受けていました。

園関係者に対しても脅していた

殺人と決めつけていた捜査は職場の人々にも圧力をかけていきました。その脅しとは職場に犯人があるということを言って迫ることです。その影響で人々は保身のために他者に不信感を抱き始める。最終的には、山田さんが怪しいという証言まで出るに至ってしまいました。さらに園児からの目撃証言が拍車をかけて、彼女への疑いが強まっていきました。

無罪を主張するには

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日本では起訴をされてしまうと、なんと99%とかなり高い確率で有罪とされてしまいます。しかも、被告人が無罪なのでと争う意思があったとしても、弁護士にすら止められてしまうしまつです。ここでは、なぜ無罪になる可能性が極めて低いのか、またどのようにしたらなるべく無罪になる確率を上げることができるかについて書いていきます。

なぜ高確率で?

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検察官などの案件の選び方や、裁判官の立場などが影響して、起訴されたら限りなく有罪となってしまうという説があります。ここでは、そんな裁判の内情について紐解いていきます。起訴されてしまう状況まで出来上がってしまったあとの絶望的な恐ろしさがあります。

検察官

基本的に検察官は無罪になる可能性のある件を起訴しません。有罪になることが揺るがないものを選んで起訴します。そのような考えが浸透しているので、検察官が無罪の判決の可能性があるようなものを起訴してしまうといい加減な検察官だというレッテルを張られかねないという背景があるとも言われています。

裁判官の立場

一説には、裁判官がかりに無罪判決を下してしまった場合、出世がしにくくなるという話があります。しかし、真相は定かではありません。ただ、裁判のルールの上では、裁判官という立場の人間は、検察官の発言を採用せざるをえないような部分があります。

取り調べで気を付けなくてはならないこと

いつ自身が罪も犯してないのに事件に巻き込まれ、不幸にも有罪とされてしまうような状況まったく他人事ではありません。そこで、もしそのような状況に立たされた場合、どのようなことを心掛けることによって、無罪へと向かうことができるのか、足掛かりになる注意点をいくつか挙げていきます。

調書の怖さ

裁判の決め事にはなんと、調書などで署名や押印をしたものに関しては撤回することはできないと内容が含まれています。裁判官は、このルールにのとって裁判を進行しなければならないので、調書にサインがしてあるものについては真実として捉えざるをえません。なので、裁判官は検察の主張を贔屓しているというわけではありません。

サインについて

調書にサインをしてしまうという行為は、自らの手によって限りなく悪い状況を作ってしまうことになります。調書は自身で文を作成するわけでないので、サインをしてしまうだけ圧倒的に不利になる可能性が恐ろしく高いです。そうなると、後は自身の裁判は有罪のレールにのって進むばかりの状況になりかねません。

証拠があると言われたら

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警察などに証拠があると言われても、実際にこの目で見せてもらうまでは、認めてはいけません。例えば、あなたと共犯したものはこう言っていたと自白を迫るケースもありますが、これは裁判が始まってからその内容を調書を見てから判断すれば済むので、取り調べの段階で、それを理由に認めることはありません。

弁護士を頼る

よく弁護士を呼んでくれとドラマでも、権力を持ってそうな方が言うシーンがありますが、あれはカッコをつけるために言ってるのではなく、とても重要なことです。実際、取り調べを受けて前述のようにサインしないことや、認めないことを徹底出来ればいいのですが、ずっと拘束されてしまい、問いただされていたら非常に応えます。

めんどくさいと

やってもいないのに罪を認めてしまったら、いっかんの終わりです。弁護士を呼ぶことを怠ったせいで、後で裁判とは調書とはどんなものかを後から知っても手遅れになってしまいます。自分の場合取り調べに耐えられないと感じる場合は、のちの裁判のルール上とても深刻なことになりかねないので、迷わず弁護士を呼ぶことをおすすめします。

甲山事件が元となった作品

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ここでは、この大変残念な結果が増えてしまった甲山学園の事件に対しての本についてご紹介していきます。人間と言うのは、完璧ではないので、間違いを犯すことはあります。しかし、できる限り過ちを起こさないように、捜査や裁判の精度を高めることにはまだまだ余地があるのかもしれません。ここで並べた書物からもいろいろなことが学べます。

甲山事件が元の作品①書籍「甲山事件 えん罪のつくられ方」

甲山事件 えん罪のつくられ方

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上野勝氏と事件の当事者である山田悦子氏によって書かれた本です。裁判の経過の状況から、えん罪の原因についても解説されています。第一部は上野氏が、第二部は山田氏が語っています。第3部の座談会では前述の2人の他に渡辺修氏と石松竹雄氏も交えて語っている内容になっています。本人が著しているものでもありますのでおすすめの一冊です。

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