ボラとはどんな魚?
昔は美味しいと言われていたボラは、なぜドブ臭く、嫌われる魚になってしまったのでしょう。その原因や特徴、生息地について説明します。
ボラとは
ボラ目ボラ科ボラ属の魚で、体長は50cm前後までが主ですが最大で80cmを超えるものもおり、引きが強くなんとも釣りごたえのある魚です。また、成長によって名前が変わり、「オボコ」→「イナッコ」→「スバシリ」→「イナ」→「ボラ」→「トド」になります。このことから、よく耳にする「とどのつまり」という語源としても用いられています。
前後に細長い体で、断面を見ると背中が平たく逆三角形になっています。側面には細い縦帯が数本入っています。地域によって呼び方が様々で、佐賀県では「クロメ」、石川県では「シロメ」、三重県では「ナヨシ」とも呼ばれています。
ボラは海にも川にも生息する魚
河口や内湾に生息しますが、水の汚染にも強いため、都市部の港や川でもよく泳いでいます。雑食性で主に藻類、甲殻類などを餌とします。餌を砂泥ごと吸い込むため、胃の幽門部は筋肉層が発達し、うまく消化できます。ヘドロなんかも一緒に食べてしまうので、その匂いが身についてしまい、ドブ臭くなってしまうようです。
ボラは北海道より南に生息している
世界中の海(西アフリカの熱帯域以外)に広く生息し、日本では北海より南側の沿岸部で広く見られています。産卵期は10月〜1月ごろで、外洋へ出て南を周回すると言われますが、行動の詳細はまだ不明なところが多いです。卵は数日でふ化し、稚魚は再び元の沿岸に戻ります。
暖かい海域をよく好み、群れで行動していることが多いです。物音に驚いたり、体についたものを落とすために、水面上を高くジャンプしていることもあります。飛ぶ高さは体長の2〜3倍だとも言います。
ボラは釣りの嫌われ者?
栄養の多く含んだ水(やや汚い水域)で育ったボラは生臭い匂いがうつってしまい、とても食べられないと言われていました。なので、今まで釣れてもリリースすることが主でしたが、水のきれいな場所で育ったボラはかなり美味しいとされ、今ではよく食べられるようになりました。
昔はマダイのように豊漁祈願や、お祝いの席に置かれるような高級魚として扱われていました。高度成長期に入ってから、ボラの生息域であった川や汽水域の水質が悪くなり、自然とボラがドブ臭くなってしまったようです。ボラは何も悪くないのに、嫌われてしまった可哀想な魚なのです。