オサガメって!?世界最大の大きさを誇るウミガメの生態に迫る!

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寿命は約45年です。成体になるまでに何年必要なのかまだ明確には明らかになっていません。目の周囲の小さな骨に刻まれる線から推測するに、30年前後は必要ではないかと推察されています。

成体になるまで生き残る確率

無事に成体になるまで生き残る確率は1000匹に1匹です。オサガメのメスが一回の産卵で50~170個の卵を産卵することから試算すると、1回に50個産んでそのすべてが無事に孵化できたとしても20匹のメスが産卵したすべての卵のうち、大きな成体まで生き残ることができるのはたった1個の卵しかないことになります。

近年では寿命までに死を迎えることも

深海でも、氷の浮かぶ冷たい海でも泳ぐ力を持ち、誰も主食にしないクラゲをエネルギーにし、強力な遊泳力で世界中の海を柔軟に泳ぎ回ることで一億年もの長い間生存競争を勝ち抜いてきたオサガメたちですが、近年では寿命までに死を迎えることが増えてきています。

オサガメが減っている理由

2004年に開催された第24回ウミガメの保護に関する国際シンポジウムにおいて、1982年には約11万5千頭いたとされる太平洋のメスのオサガメの数は、現在約3千頭にまで激減したと述べられています。一体何によってそれほどまでオサガメたちは数を減らしてしまったのでしょうか。

延縄漁業

一つが延縄漁業によるものです。延縄漁業とは延縄漁とは、遠洋漁法の一つで、一本の幹縄と呼ばれる長い縄に、枝縄と呼ばれる釣り針の付いた縄を垂らし、魚を釣りあげます。長さは約150キロメートルにも渡り、そこに約3,000本もの枝縄がカーテンのように釣り下がります。

オサガメはその巨体ゆえに俊敏な動きは苦手で、そのためにこのような網にかかってしまうのです。柔らかな甲羅しか持たない彼らは網から逃れようとしてその柔らかな甲羅に傷を負ってしまい、最終的には溺死してしまいます。

卵の密漁

卵の密漁も絶滅の危機に追い込んだ大きな要因の一つと言われています。マレーシア東部ではオサガメの卵のスープは大変な珍味として珍重されており、その乱獲から個体数の激減を招くとし1989年には食用を禁止しましたが依然として密漁を続ける地域が存在します。

環境汚染

環境汚染もオサガメの生存を脅かしています。1885-2007年に渡ってストランディングした死体を解剖すると、多くのオサガメの胃の中からプラスチック製のゴミが出てきました。クラゲと間違えて海に漂うゴミであるビニール袋やお菓子の包装などといったものを食べてしまい、食道や内臓に詰まらせてしまうのです。

オサガメの飼育はできるのか

オサガメは果たして人による飼育は可能なのでしょうか。身近で雄大に泳ぐところを見てみたいと思いますよね。ここではオサガメの飼育の現状についてお伝えします。

閉鎖されているところが苦手

飼育の難易度は非常に高いです。クラゲを求めて果てしなく広い海を遊泳する身体の作りをしているため、水槽のような閉鎖環境が苦手なのです。自然には存在しない透明な水槽を認識することができずにぶつかりやすく、その際に骨の中が空洞であるために小さな衝撃でも重症化に繋がります。

オサガメ同様、水槽への衝突を繰り返してしまうために飼育困難とされているのがマンボウです。詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

体が大きい分ご飯の量も多い

主食のクラゲから得るカロリーでオサガメの活動量と巨体を維持するためには、成体の個体ともなると一日に100kg近くもクラゲを捕食する必要があります。そのクラゲを毎日与えることの難しさも飼育の難易度をあげています。

飼育に成功したこともある

このような飼育困難なオサガメですが、成功例もあります。国外ではアラルンプール(マレーシア)にある水族館アクアリアKLCC、国内では名古屋港水族館(愛知県)や沖縄で飼育に成功しており、名古屋港水族館では実に8年の飼育実績があります。

オサガメに会える

飼育が難しく水族館を訪れてもほとんどお目にかかれないオサガメですが、やはりその生きている姿を、目を疑うほど大きな姿を一目見てみたいと思いませんか?世界にはオサガメに会うことのできる地があります。

トリニダード・トバゴ

トリニダード・トバゴはカリブ最南端にある二つの島からなる海と森が美しい小さな国です。約1.6kmの狭いビーチグランドリビエールビーチがオサガメの産卵地として有名で、ここに上陸するオサガメたちは遠くアメリカ、カナダ、イギリスなどから泳いできます。

オサガメの産卵ツアー

首都ポート・オブ・スペインから車で3時間ほど離れた小さな村、グランドリビエラにあるアカジューホテルではオサガメの産卵ツアーに参加することができます。このホテルのすぐ近くにあるビーチがグランドリビエールビーチなのです。

ここグランドリビエラは3月末から6月末であればオサガメの産卵を見る事が出来る貴重なスポットです。夜9時ごろから産卵ツアーが開始され、砂浜に次々と上陸し(1日約300頭!)、ヒレで砂を掻き分けながら涙を流して必死に産卵するオサガメの姿を見ることができます。

オサガメの保護活動

トリニダード・トバゴでのオサガメの保護活動はネイチャーシーカースと呼ばれる団体が主に行っています。オサガメの乱獲を受け、1990年より有志によって活動を開始しましたがその功績を認められ、現在では政府認可団体となりました。

ネイチャーシーカースの活動のおかげでオサガメの死因の3割にも上っていた乱獲の割合を0にまで下げ、かつては密漁者であった少年たちが保護スタッフとして活動するなど功績は大きなものです。

個体識別のタグとりつけ

オサガメが産卵に集まるタイミングで、個体識別のタグを取り付けます。取り付けたタグによって世界の海を泳ぎ回るオサガメたちの生息地域の追跡や生息環境のデータが収集でき、保護活動の大きな支えとなります。

子亀の保護活動

産卵された卵の場所が安全であるかを確認し、安全でなければ別の場所へ移します。さらに孵化した稚亀を保護し、海へ放流するのを手伝います。月の光を頼りに海へ帰る子亀たちが間違えて町のほうへ行ってしまわないように手助けします。

ビーチの清掃活動

砂浜にペットボトルやビニール袋などが散らばっていると餌と間違えて食べてしまったり、ガラスの破片などでオサガメが傷ついてしまうのでそのような事故を防ぐために回収し、やがて親となったオサガメが再び砂浜へ帰ってこれるよう清掃します。

世界最大のウミガメ「オサガメ」の魅力

恐竜たちが大地を駆け回り、凶暴なティラノサウルスが雄たけびを上げていた時代から存在し、恐竜たちが絶滅するほどの環境変化を生き抜いてきたオサガメたち。実にニッチな進化を遂げながら厳しい生存競争を勝ち抜いてきたオサガメたちはこうして私たち人間に命の不思議を伝えてくれています。

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