アダンソンハエトリは最強ハンター!かわいい益虫の特徴や生態まとめ

アダンソンハエトリは学名ではHasarius adansoniといいます。フランスの博物学者であるミシェル・アダンソン(Michel Adanson)に因んでこの名前がつけられました。

19世紀初めにはハエトリグモの仲間は皆、1805年に確立されたAttusと呼ばれる単一の属に分類されていました。アダンソンハエトリは1826年に最初そこに分類され、当初はAttus adansoniiと呼ばれていました。

ハエトリは科目名から

その後、フランスの鳥類・クモ類の学者ウジェーヌ・シモンによって1871年に作られたHasariusというハエトリグモ属へと、2012年になって最終的に分類されました。それまではいろんな他の種族へあっちへ行ったりこっちへ行ったりと分類され直していたそうです。その回数はなんと86回!

日本名では、最初からつけられていたアダンソンという名前と、ハエトリグモの仲間としてわかりやすくハエトリとつけられ、アダンソンハエトリと呼ばれています。自分の知らぬ間に自分がどこに分類されるのかについて86回も熱く人間たちによって議論が交わされていたと知ったら彼ら自身もびっくりでしょうね。

どんな風に見えてる?クモたちの大きな目

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虫の目というとトンボや蝶、蜂などのように、小さなレンズの集合体である複眼をイメージされる方もいらっしゃるかもしれませんが、アダンソンハエトリも含むクモの仲間たちの目は単眼と呼ばれています。クモは目を8つ持っている種類が多いようですが、その8つの黒いキラキラした目、それぞれが大きな1つのレンズなのです。

顔の真ん中にある大きな前中眼という2つの目がメインで獲物かどうかなどをじっくり見定める役割を、その他の方向についているそれぞれの小さな目は最初に動くものを見つけるためのレーダーのような役割を果たしているようです。

複眼とどう違うの?

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複眼にはたくさんのレンズを使うことで広い視野が確保でき、自分が置かれている環境での距離感などがしっかりと立体的に掴みやすくなる利点があるのですが、彼らクモたちはそうでない目を持つことを選びました。

メインの前中眼は視野こそ狭いものの網膜に解像度の高い像を結ぶことができますので、彼らの目は私たち人間の目にある意味では近いと言えるかもしれません。この目を使って、メスはオスが踊る求愛ダンスのジャッジをしたりもします。

アダンソンハエトリはなぜ家の中に生息しているの?

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気がつくと近くの壁にひょっこり現れていたりするアダンソンハエトリ。彼らはどのようにして、またどのような理由があって私たちが暮らす室内へとやってきているのでしょうか。ここから詳しく見ていきましょう。

小さなスキマから侵入する

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玄関のドアのスキマや、網戸とサッシの間にわずかにできたスキマ、通気口など、小さな彼らにとってはあらゆるスキマが入り口となり得ます。そうっと室内へ入り込み辺りを見回したその時から、彼らの狩りは始まっているのです。

エサが豊富にある

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人間からはどんなにゲテモノに見えたとしても、アダンソンハエトリたちからしてみると先ほど名を挙げた虫たちはたいへんなごちそうばかり。豊富な食材を求める彼らの足はこうして私たちの家に向くこととなります。

外敵が少ない

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人間の害虫を食べてくれる存在としてこちらも有名なヤモリ。食物連鎖でもう少し上位に位置する彼らは、アダンソンハエトリのような蜘蛛もぺろりと食べてしまいます。こうしたトカゲの仲間や鳥たち、自分より大きな他のクモなどの外敵が少ないので、人の住まいはとても安心な場所。

そこに住む人間さえ自分を退治しないでいてくれるならば、人の住まいは安全で、マイペースにおなかいっぱい食べて生きていける素敵な場所だとアダンソンハエトリたちは思っていることでしょう。

アダンソンハエトリと同じハエトリグモ科のクモ

ここからはアダンソンハエトリの仲間たちを少しご紹介していきます。それぞれ姿形や模様など個性的なハエトリグモたちばかりです。気になったクモがいた方は出会えそうな場所へ探しに行ってみるのも楽しいかもしれません。

ハエトリグモ科のクモ①シラヒゲハエトリ

シラヒゲハエトリというクモは、口の周りにもふもふと密集した白い毛を持っているのが特徴です。アダンソンハエトリのメスにもほんの少し似ていますが、この種類は室内に来ることはあまりありません。彼らは主に屋外でアダンソンハエトリのものと似たタイプの小さな巣を作り、その周りをテリトリーとして動き回って生活しています。

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