大分一家6人殺傷事件とは?犯人の動機や現在、被害者一家のその後に迫る

高校に入学した少年は野球部に入部しましたが、4月のうちに退部しています。その後は不良グループと一緒に行動するようになり、髪を染め、ピアスもするようになりましたが、親に怒られたため、すぐにやめています。

5月の末、不良グループ内での立ち位置が低かったため「いじめ」のような暴力を含んだ遊びで諍いが起こります。少年が学校に報告したために双方の親が介入し、不良生徒の親が少年に謝罪して表面的には収束しました。

諍いの時にとった少年の行動は、級友達からの反感をかいました。6月に少年は、「学校をやめたい」と親を通して担任に伝えています。幾度の担任の説得により「もう少し頑張ってみる」と返答し、夏休みを迎えました。

不本意な進路の末に非行に走るが根は素直なままだった

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少年は、中学生の時に授業で学んだコンピューターのグラフィックに関わる職業に興味を持ち、大分市内にある専門学科の豊富な県立高校に進学を希望していました。

高校の進学は、「成績が及ばなかった」「親に反対された」などの理由により希望が叶わず、地元にある野津高校の普通科に進学しました。少年にとっては、不本意な進路だったといえます。

ラジオ体操中に煙草を吸おうとしたことが1度だけありましたが、「煙草を吸うなとは言わんけど、小さい子の前で煙草はいかんよね」と、子どもの保護者が止めると、少年は素直に頷き、2度と煙草は出しませんでした。

ホラービデオ鑑賞が唯一の楽しみだった

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少年の趣味はホラービデオ鑑賞でした。少年の友人が「ホラービデオが唯一の趣味だった」と言うように、他にはこれといった趣味が無かったようです。友人も少なく、友人と女の子の話をすることもなかったといいます。

少年は月に2~3度、片道約1時間の距離にあるレンタルビデオ店に自転車で行き、ホラービデオを借りていました。新聞配達で稼いだ小遣いでレンタル料金を支払っていました。

「残虐な映像を楽しむことで現実感が喪失し、大分一家6人殺傷事件のような凶悪な事件が起こる」という意見もありますが、反対に「一般的な人には凶悪な事件を防止する効果がある」という意見もあります。

被害者宅とは別の同級生の家にも下着泥棒で侵入していた

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少年が学校を休むようになった6月頃から、集落では女性の下着がなくなる事件が相次いで発生するようになりました。下着がなくなった家は大分一家6人殺傷事件の被害者宅と、少年の同級生の家の2件だけでした。

少年の同級生の家には女子中学生がいました。7月の末に、女子中学生の部屋で10枚ほどの下着が切り裂かれて放置されていました。下着泥棒では様子を見ていた女子中学生の両親も、この時には被害届を出しました。

8月の上旬には、女子中学生とその母親の下着が切り裂かれ室内に放置されていました。少年は同級生の家の合鍵を盗んで持っていました。「下着泥棒とポルノ雑誌の放置は少年の仕業」との噂が集落で囁かれていました。

小動物を虐待したり盗みをしている所も目撃されていた

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少年は、近所の子犬をとても可愛がり、たくさん遊びもしましたが、時折ボールを投げつけるなどの行動もしました。子犬の飼い主は、「可愛がりたいのか、いじめたいのかわからない」と、少年の行動に困惑しました。

2000年6月頃、子猫を掴んだ手を用水路に沈めている少年の姿が目撃されています。青年が声をかけると、少年はつまらなそうに子猫を解放しました。

水に沈められ、弱り切って震えながら逃げようとする子猫を追いかけようとした少年に、「もうやめろ」と青年が咎めると、少年は子猫を力いっぱい蹴り飛ばしました。

ストレスを発散させるために小動物を虐待していた

「自分よりも弱い存在を、自分の機嫌で蹴り飛ばす」という行為は、父親の少年に対する暴力と全く同じ行為です。少年の不安定な心を安定させるために、子猫は水に沈められ、蹴り飛ばされてしまいました。

少年は趣味も少なく、心の解放が苦手なようでした。親に知られない「下着泥棒」や「小動物への虐待」によってストレスを発散させ、心のバランスをとっていたのです。

大分一家6人殺傷事件の被害者家族

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大分一家6人殺傷事件の被害者一家は、祖父(65歳)・祖母(66歳)・母(41歳)・長女(16歳)・長男(13歳)・次男(11歳)の3世代家族でした。

祖母・母・長男が死亡

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祖母・母・長男は、ほぼ即死でした。3名の刺し傷から大分一家6人殺傷事件の犯人は、「冷静に急所を狙って刺したのではないか」と推測されています。

大分一家6人殺傷事件の1番最初の被害者である長男は、サバイバルナイフで何度も刺されていました。

祖父は一命を取り留めるも寝たきり状態に

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犯人に祖父は激しく抵抗し、素手でサバイバルナイフの刃を掴んだため、指の関節部の肉や骨がえぐられ、指先が皮一枚でかろうじて繋がっている状態で病院に搬送されました。

犯人にサバイバルナイフで頬を刺された祖父は、ナイフの尖端部が頬を抜けて脳に達しました。脳が傷ついてしまったため、意思の疎通も困難な寝たきりの状態になり、その後、回復の見込みはないようです。

次男は手術で回復し運動できるまでに

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犯人にサバイバルナイフで胸を刺された次男は、刺し傷が心臓からそれていたため生き残ることができました。

救急搬送された次男は、10時間にもおよぶ手術に耐え抜き、死線をくぐり抜けました。その後は、学校へ通学することや、楽しく運動することが可能なほど、体は回復しました。

長女は車椅子生活となるも大学へも進学

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長女は、犯人に背中を深く切りつけられました。命はとりとめましたが体には後遺症が残ってしまったため、車椅子生活となりました。その後は家族の助けをかり、大学へ進学しました。

大分一家6人殺傷事件の犯人逮捕後と民事訴訟

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少年法が改正される直前に大分一家6人殺傷事件が起きたため、犯人は刑事責任を問われませんでした。

当時の少年法では「16歳以上」は成人と同じ刑事裁判を受けますが、大分一家6人殺傷事件の犯人は15歳だったため、家庭裁判所で審判が進められました。

保護処分の種類は、保護観察・児童自立支援施設への送致・少年院への送致などがあります。刑事処分が相当と判断できるほど罪が重い場合は、検察官に少年を送致し、刑事裁判の法廷で裁くことができます。

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