「百々目鬼」は手癖の悪い妖怪!その元ネタや類似の妖怪もご紹介!

兎田の百目鬼は、刃のような毛と百の目を持った、十丈はあろうかという大きさの鬼です。藤原秀郷(ふじわらのひでさと)が弓を射って退治しますが、矢を受けて去った百目鬼は毒気と炎を放ち続け、僧の法力によって成仏するまで人々を困らせました。

目目連(もくもくれん)

1781年に刊行された「今昔百鬼拾遺」に妖怪「目目連(もくもくれん)」は登場します。百々目鬼と同じく鳥山石燕によって描かれました。荒れ果てた家の障子に無数の目が浮かび上がった姿の妖怪で、解説文によると『囲碁棋士の念が碁盤に注がれ、さらに家全体に現れたもの』とされています。

山田野理夫の著書「東北怪談の旅」「障子の目」では、『津軽へ材木を買いに行った江戸の商人が、宿代を惜しんで空き家に泊まったところ、障子に無数の目が現れました。しかし、商人は恐れるどころか、障子の目を集めて江戸へ持ち帰り、眼科医に売り飛ばした。』という話があります。

百々目鬼とは違い目が一つしかない妖怪

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妖怪の世界には、「目に特徴がある」妖怪がたくさんいます。目が一つしかない妖怪や、顔ではなく手のひらに目がついている不思議な妖怪など、その見た目や魅力は様々です。そんな「目に特徴がある」妖怪たちを紹介します。

一つ目小僧

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妖怪「一つ目小僧(ひとつめこぞう)」は、額の真ん中に目が一つだけある坊主頭の子供の姿をしています。突然現れて驚かすだけで、特に危害を加えるようなことはありません。比較的無害な妖怪なので、かわいらしい、もしくはユーモラスなデザインで描かれることが多いです。

一つ目小僧は単眼症の子どもだった?

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先天的な奇形に単眼症と呼ばれるものがあります。母胎のビタミンAの欠損などが原因で、大脳が左右に分離できず一つの塊のままになってしまい、これに伴い眼球も1つとなります。ほとんどは胎内もしくは生まれてまもなく死亡してしまいます。

食肉文化の少なかった頃の日本ではビタミンAの不足は珍しいことではなかったのかもしれません。一つ目小僧が小坊主の服を着た子供の姿であることから、単眼で生まれた赤子をこう呼んだものが始まりとも考えられています。

一つ目入道

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妖怪「一つ目入道 (ひとつめにゅうどう)」は、目が一つしかなく大入道の姿をしています。日本各地の伝説や民話などで名前が見られる妖怪で、京都では狐が化けたものとされています。江戸時代の怪談「稲生物怪録」にも一つ目入道が登場しますが、これはタヌキが化けたものとされています。

和歌山県日高郡には、『立派な行列に出くわした若者は、木の上に登って行列見物をしていました。木の根元で止まった行列の大きな駕籠から現れたのは、身長約1丈の一つ目の大男でした。一つ目の大男は木に登って若者を襲おうとしました。若者が大男の頭を刀で斬りつけると、大男は行列もろとも消えてしまいました。』という妖怪譚があります。

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