「百々目鬼」は手癖の悪い妖怪!その元ネタや類似の妖怪もご紹介!

手の目(てのめ)は、1776年に刊行された「画図百鬼夜行」に登場する妖怪です。百々目鬼と同じく鳥山石燕によって描かれました。両目が顔ではなく両手のひらに一つずつついている座頭姿の妖怪で、解説文がないために詳細は不明となっています。

江戸時代の怪談集「諸国百物語」の『ばけ物に骨をぬかれし人の事』という話の挿絵には、両手に目のついている妖怪の姿が描かれており、鳥山石燕が「手の目」のモデルにしたのではないかと考えられています。

百々目鬼に似ている外国の妖怪(怪物)

出典:PhotoAC

外国にも百々目鬼に似た、目に関する妖怪や怪物、巨人などがいます。それぞれの国や地域で、どんな話が伝えられているのでしょうか?日本の妖怪とは違った魅力を持つ、外国の妖怪たちを紹介します。

一目五先生(中国)

一目五先生(いちもくごせんせい)とは、浙江にいる五匹で行動する妖怪です。目を持っているのは「一目先生」と呼ばれる一匹だけで、目は一つしかありません。ほかの四匹は目が見えないので、いつも「一目先生」の後をついて歩き、「一目先生」の号令に従って行動します。五匹はつねに傍を歩き、人の言葉を喋ります。

一目五先生は疫病の流行する年に現れ、人が寝入ると鼻で臭いを嗅ぎます。臭いを嗅がれた人は病気にかかり、嗅ぐ妖怪の数が増えるほど病気が重くなります。五匹全部に臭いを嗅がれた人は死んでしまいます。善いことも悪いこともしない、福も禄もない人間を選んで臭いを嗅ぎます。

太歳(中国)

出典:PhotoAC

太歳(たいすい)とは、赤い菌のような肉の塊に数千の目がついている、地中に棲む怪物です。。木星(太歳星)の運行に合わせて地中を移動しています。土木工事などで掘り出してしまった場合は、すぐに土木工事を中断して元の場所に埋め戻さないと、周辺の人々は祟られて死に絶えてしまいます。

アルゴス(ギリシャ神話)

アルゴスとは、ギリシャ神話に登場する全身に100の目をもつ巨人です。全身の目は交代で眠るため、アルゴス自身は常に目覚めているので、時間的にも空間的にも死角がありません。神々の命を受け、上半身が人間で下半身が蛇の姿をした怪物や、雄牛の怪物を退治するなど多くの手柄をあげました。

アルゴスの死後、ゼウスの正妻ヘーラーはアルゴスを悼んで(もしくは罰の一環として)、ヘーラーの飼っているクジャクの尾羽根にアルゴスの目を飾りました。それ以来、クジャクは尾羽根に百の目を持っているという説があります。

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