ハリネズミのジレンマの意味とは?
人間関係の間における気持ちの距離感をこの動物の性質に例えたひとつの寓話を元にアメリカの心理学者がこのような名前を付けたものです。体の半分以上を針にまとわれた体のハリネズミは、暖を取るときなどに体を寄せ合おうとするも互いの針があることによってそれができません。
相手に近寄ると互いの針によって傷つけてしまうし、無理にくっつけば刺さった針によって離れることができなくなります。近づこうにも針が邪魔となり、針が刺されば苦痛を伴い離れられないという、このような状態になってしまうこと人間関係に置き換えて考えたものが”ハリネズミのジレンマ”というのです。
人間関係の距離感はどのような相手かによっても異なります。距離感を保つことがこの人間社会で生活する上でとても必要とされているということについて提唱された人間関係論に基づいたものです。マイナスな面が大きく取り上げられていますが、心理学的観点からすると乗り越える事で自身に良い影響があるなど、肯定的な意味合いも含まれています。
「ハリネズミのジレンマ」の由来とは?
この名付けがされた由来は先ほど書いた哲学者の寓話を由来としていると言われています。その由来となった哲学者ショーペン・ハウエルの随筆集「余禄と補遺」第2巻にあった寓話を紹介したいと思います。
”ハリネズミのジレンマ”の由来①とある寓話から
詳細は追って後述しますが、元となった寓話に出てくる動物は「ヤマアラシ」でした。ハリネズミ同様、体の大半を大きな針をまとった姿をしています。そして話の中では2匹の関係性ではなく、ひとつの群れの話としてかかれています。この寓話を元にフロイトという精神分析医兼、精神科医が引用したものが広まったのです。
”ハリネズミのジレンマ”の由来②そのストーリー内容は?
向かい合う2つの山に1匹ずつのハリネズミが住んでいました。とても寒い日、体を温めようと近づくも互いの針が刺さって痛くて近づけません。痛くて離れてみたものの、それでは寒さに耐えられそうもありませんでした。
この2匹は寒さに耐えられずに近づき、痛みで離れては寒さに震えること繰り返していました。そのうちに2匹は痛みを感じることなく、温かさも感じられるちょうどいい距離を見つけることができたのです。
ハリネズミのジレンマの心理学的見解とは?
上記で紹介した元となる寓話を最初に引用し広めたのは精神科医フロイトですが、これをさらに心理学的視点から”ハリネズミのジレンマ”と名前をつけたのはアメリカ人のベラックという精神分析医です。次はこのジレンマの心理学的な部分を紹介します。
”ハリネズミのジレンマ”の心理学的見解①肯定的な意味
この”ハリネズミのジレンマ”は近寄りたくても近寄れないという否定的な意味合いで捉えている方が多くいますが、心理学的な視点から見ると、紆余曲折あった末に、互いにとって居心地の良い距離に気づくことができるという肯定的な意味を持っています。このジレンマに悩まされている方も、視点を変えればチャンスにすることできるのです。
”ハリネズミのジレンマ”の心理学的見解②ハリネズミ指数
心理学でよくある指数を図ることもできます。それが”ハリネズミ<ヤマアラシ指数>”です。P.I(ヤマアラシ指数)=刺激の数×強度×持続となります。これが表す意味はこのようになります。
3人の友達と1週間に1回を平均とし、1人につき100分間会ったとします。その場合P.I=3×1×100=300となります。3人の友達と1週間で10回、各10分会った場合はP.I=3×10×10=300となります。
結果的に出た数値は同じでも前提とする条件が違うことで意味合いも変わってきます。この2つを比較すると、1回100分会うよりも10回10分会った場合の方が人間関係は表面的なものと言えます。
「ハリネズミのジレンマ」と「ヤマアラシのジレンマ」は同じ?
2種の動物名で表されているものの、その内容や意味合いに違いはあるのでしょうか?この名前が付けられることになった元ネタや、なぜ”ハリネズミ”という名前が増えたのかについても説明していきたいと思います。