オサガメって!?世界最大の大きさを誇るウミガメの生態に迫る!

オサガメは一生のほとんどを海中で過ごし、産卵のときのみ砂浜に上陸します。産卵する砂浜は熱帯地域に限られており、インドネシア、スリナム、コスタリカ、スリランカ、パナマ、マレーシア、パプアニューギニア、南アフリカ共和国、そして日本(一度のみ)です。

日本国内でも発見された

日本国内でもオサガメの発見例があり、北海道から沖縄にまでわたり全国で毎年数件のストランディング(海で一生を終えたウミガメの死体が砂浜に流れ着くこと)や漁網での捕獲が報告されています。産卵が確認されたのは日本では唯一、奄美大島(鹿児島県)・嘉徳海岸においてオサガメの産卵が記録に残っています。

絶滅の危機

オサガメは世界的に個体数が減少の一途をたどっており、絶滅が危惧されています。国際自然保護連合(IUCN)によるレッドデータリストにはオサガメはランク「CR(近い将来に高い確率で野生では絶滅に至る危機にある種。絶滅寸全種)」と表記されており、ジャイアントパンダの「EN」よりも上にランクされています。

日本にやってくるオサガメはどこで生まれた?

日本周辺でもオサガメが成育していることはわかっており、各地の砂浜でストランディングがありますがそうして日本にやってくるオサガメたちがどこで生まれたのかこれまで明らかになっていませんでした。しかし、近年目まぐるしい発達を遂げているDNA解析技術により、以下のことが明らかとなりました。

本研究では国立科学博物館、沖縄美ら島財団、日本ウミガメ協議会、男鹿水族館 GAO のこれまでの調査研究により蓄積された、日本各地で死亡漂着や混獲によって得られた標本 16 個体からDNA を抽出し、ミトコンドリア DNA の部分 DNA 配列を決定しました。それらを DNA 配列データベースに登録された世界各地の産卵地に上陸する個体のものと比較することで、日本周辺海域を利用する個体の多くがニューギニア島からソロモン諸島にかけての西太平洋の産卵地に由来することを突き止めました。また、現在絶滅に近い状態にあるマレー半島の産卵地由来の可能性がある個体が 1 個体みられたことは、日本周辺の海域が同産卵地の個体の回遊経路になっている可能性を示唆するものです。(引用:国立科学博物館)

 

オサガメは長生きするのか

一般的に長寿と言われるカメですが、陸上で暮らすゾウガメの一種であるガラパゴスゾウガメは野生の状態で100年は生きるとされています。同じ海を泳ぐウミガメにおいてはアオウミガメ、アカウミガメで70~80年ぐらい、タイマイで30~50年と言われています。では最大の大きさを誇るオサガメは長寿なのでしょうか。

オサガメの寿命

寿命は約45年です。成体になるまでに何年必要なのかまだ明確には明らかになっていません。目の周囲の小さな骨に刻まれる線から推測するに、30年前後は必要ではないかと推察されています。

成体になるまで生き残る確率

無事に成体になるまで生き残る確率は1000匹に1匹です。オサガメのメスが一回の産卵で50~170個の卵を産卵することから試算すると、1回に50個産んでそのすべてが無事に孵化できたとしても20匹のメスが産卵したすべての卵のうち、大きな成体まで生き残ることができるのはたった1個の卵しかないことになります。

近年では寿命までに死を迎えることも

深海でも、氷の浮かぶ冷たい海でも泳ぐ力を持ち、誰も主食にしないクラゲをエネルギーにし、強力な遊泳力で世界中の海を柔軟に泳ぎ回ることで一億年もの長い間生存競争を勝ち抜いてきたオサガメたちですが、近年では寿命までに死を迎えることが増えてきています。

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